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⑦残念王子と闇のマル(修正あり2/4)

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戦争


あっけらかんと告げられた空の言葉に、さすがの理巧も動揺を隠せなかった。

そんな二人をしばらく見つめた後、空は薄く笑う。

「…そうさせられそうになってる、って感じ?」

あまりにも説明の足りない言葉に、カレンは首を傾げながら無言で理巧に説明を求めた。

「誰にですか?」

自分もよくわからない理巧は、空へ訊ねる。

「ん~…関係諸国&隣国。」

答えが、更に謎を呼ぶ空。

「どの『関係』ですか?」

それでも、慣れた様子で理巧が謎を解いていく。

「麻流関係。」

この言葉で、理巧はおおよその見当がついた。

「なるほど。」

「え!?何が??」

全然意味がわからないカレンは、思わず声を上げる。

そんなカレンに、理巧が端的に説明をした。

「恐らく、おとぎの国の王位継承者と姉上が結婚すると困る関係諸国が、世界にはたくさんあるんでしょう。」

「…うん。」

一応返事はしたものの、なぜそれが戦争に至るのか明らかに理解できていない様子のカレンを、空が微笑ましく見つめる。

理巧は少し考えた後、もう少し説明を足した。

「その諸国が、花の都とおとぎの国それぞれの隣国と結託して、我々に仲違いをさせようとしている、ということです。」

カレンは理巧の言葉を頭の中で反芻しながら、宙に視線をさ迷わせる。

「…えーっと…つまり、ぼくとマルの結婚を阻止するために、戦争させようってなってる、ってこと?」

「そ。」

「そういうことです。」

よくわかりました、と言わんばかりの笑顔で忍親子に笑顔で同時に頷かれたカレンは、複雑そうな笑顔を浮かべた。

「でも、なんで僕たちに結婚されると困るんですか?」

納得のいかないカレンは、再び空に訊ねる。

「麻流は、稀代の最上忍だったからね。」

またまた首を傾げるカレンに、理巧が口を開いた。

「忍だったら流出の心配がなかった情報が、忍でなくなると、流出するかもしれないでしょう。」

「…?」

無言のカレンに、理巧は更に言葉を加える。

「忍であれば、契約の時に取り交わした『守秘義務』で縛られており、我々としても今後の信用に関わるため、情報漏洩は絶対にあり得ません。」

理巧の言葉を聞きながら、カレンは麻流にマントを再びかけた。

カレンの優しさに、空の心は温まる。

「それは花の都に対してでも、そうです。王配といえど、父上は頭領として得た各国の情報を母上に決して漏らしません。」

「そうなんだ!」

カレンは感心しながら、空を見た。

「忍だかんね。」

素直な反応に、空は頬をゆるめながら飄々と応える。

「けれど、その『忍』が『忍でなくなりただの王女になる』となれば、その守秘義務は無効になります。」

この説明でようやく合点がいったカレンは、首を縦に小刻みにふって頷いた。

「ああ!つまり妃になったマルが、夫の僕に忍の時に得た各国の弱味を話しちゃうかもってこと!だから、仲違いするように仕向けられてるってことでしょ!?」

顔を輝かせて得意気に言うカレンに、空が小首を傾げる。

「んー…8割強。」

「そこは9割にしてあげませんか?」

「じゃ、おまけ。」

ヒソヒソと話す忍親子に、カレンは頬をふくらませた。

「模範解答をお願いします!」

カレンのあまりの可愛さに、忍親子は揃って破顔する。

「ははっ!麻流がやられんの、わかるな。」

「はい。私もよく思います。」

素直な表現に癒された二人は、頬を膨らませたままのカレンに向き直った。

「おまえが言うように、麻流が持ってるいろんなヤバ~い情報が、そのまま麻流ごとおとぎの国にいくことが、みんな怖いわけ。」

「余談ですが、星一族は、独立しています。花の都にありながら自治を認められており、花の都に属していません。」

「そうなの!?」

意外な事実に、カレンが目を見開く。

「ええ。立国しているわけではありませんが、私たちは2つの国の王族として生まれたということになるのです。」

理巧の話で、カレンはようやく今までのことに全て納得できた。

「だから、『忍』になった麻流と理巧は、花の都の王の子として公表されないんだ!」

カレンの言葉に、理巧が頷く。

「その通りです。私たちは『星一族』なので。」

そこに、空が割り込んだ。

「星一族きっての最上忍が、一族を抜けて花の都の王女になるって、前代未聞だしね。」

それに、理巧が応える。

「それが花の都にいるならまだしも、おとぎの国に嫁ぐとなっては、それは焦りますよね。」

もうこうなると、自然と親子の雑談になっていく。

「ん。しかも相手が『女の扱いに長けてるカレン王子』とあっちゃあ…。」

「寝物語でうまく聞き出されるのも時間の問題、って誰でも思います。」

(リクも、意外になかなかの毒舌…。)

カレンは頬を赤らめながら、二人から視線を逸らした。

「だからさ、『関係諸国』が隣国の連中を焚き付けるわけ。」

「焚き付けられた隣国各国が『おとぎの国と戦争しないと、一気に攻め込む』と脅してきてるんですね。」

理巧の言葉に、カレンがピクリと反応する。

「それは、我が国も同じ状態ということですよね。」

割り込んだカレンに、空が頷いた。

「だろうね。」

カレンは顎に手を添えると、逡巡する。

「けれど…それなら、お互いに戦争をしている間に、空っぽになっているそれぞれの本国を、隣国に攻め込まれる可能性がありますよね。…あ、いや、むしろそれを狙ってのことなのか?」

カレンの言葉に、忍親子は驚いて顔を見合せた。

「?」

シンと静まり返った空気に、カレンが首を傾げる。

「ぼく…変なこと、言いました?」

空はカレンを見つめたまま、おもむろに銀のマスクを取り出した。

そして、理巧に麻流を託す。

「ソラ様?」

素顔をマスクで隠し表情が読みづらくなった空に、カレンが焦った様子で声をかけた、その瞬間。

「ちょうどいいとこに来たね。」

空が天井を見上げると同時に、ひとりの忍が降りてきた。

「お待たせ致しました。」

足元に跪く忍を、空は冷ややかな瞳で見下ろす。

「んなのいいから、さっさと梯子かけな。」

鋭く言われた忍は、あわてて天井へ戻る。

数秒後、忍に支えられながら、立派な身なりの男性が降りてきた。

「聞いた?ダナン。今のカレンの賢さ。」

軽い調子で迎えられた男性が、穏やかな笑顔でふり返る。

「ああ。本当に驚いたよ。」

「ち…父上!?」

カレンがうわずった声を出すと、温かな微笑みを向けられた。

「カレン、背が伸びたな。」

その言葉で、突っ立ったままだったことに気づいたカレンは、慌てて跪く。

「お久しぶりです、父上。」

ダナンは穏やかな笑顔を浮かべながらカレンの前に膝をつくと、クセのない金髪を優しく撫でた。

「髪が、伸びたな。」

やわらかな声色に、カレンが少し照れた様子で頷く。

「はい。」

「髪伸びたら、更に色気が加わったよな~。」

艶やかな低い声がからかうように言うと、ダナンが小さくため息を吐いた。

「それは困ったな。花の都で髪を切ってもらいなさい。」

思いがけない言葉に、カレンが目を見開く。