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カオス神話伝

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全ての始まり

宇宙が創造される以前には混沌の海のみが拡がっていた。混沌の海は「根源」「絶対無」「原初の混沌」とも呼ばれた。全ては闇から始まった。魔王の中の魔王、大いなる邪神、原初の暗黒と呼ばれるものから我ら人間、宇宙、神は生まれたのだ。万物を創造した混沌の海、それが「金色の魔王/ロード・オブ・カオス」であった。ある時、混沌の海に僅かな揺らぎが生じた。その揺らぎはやがて「泡」となった。その泡こそ混沌の大洋の中で最初に生まれた「秩序」であった。最初に生まれた秩序「白銀の女神(コズミック・クイーン)/ルミナス」は混沌の海の混沌を吸収し始めた。混沌の海より流れ込む混沌によって、泡の内部に「宇宙」が生まれた。更に泡は急激な膨張を始め、内部ではインフレーションが発生し、それによって流出する混沌が混ざり合い、母なる宇宙から無限の「多次元宇宙」が創られた。後に宇宙を定義する自然摂理に意思が宿り、「神」が生まれた。混沌という宇宙の外側(混沌の海)から流れ込んだ原初の素から「宇宙」が「神」が、そして「生命」が生まれた。何物にもなっていない物が混沌であり、万物の素である。全ては混沌という海の波によって生じた一瞬の泡に過ぎない。全ては混沌の海からすれば取るに足らない存在なのだ。ルミナスは自身を媒介にする事で、混沌の海から混沌を吸収し、その混沌をエネルギーに変換し宇宙に供給する事で宇宙の延命と維持を行う。宇宙を滅びから守護する事、それが光の意思ルミナスと神々の使命であった。
                 
同時に相反する概念が宇宙の影に生まれた。それは滅びを望む者、宇宙が創造される以前の状態に戻そうとする負の概念「紅蓮の魔王(ブラッディ・アイ)/ゾーア=エンドレス」は神々が行ってきた宇宙延命のサイクルを破壊し、全てを完全な無に帰そうと企んだ。宇宙の完全な熱的死、どんな変化も起こらない、どんな生命も生きられない、どんな概念も存在できない、「静寂に満ちた一切の無」それこそがゾーアの望みであった。その為に、ゾーアは数多の悪魔や怪物を創り出し、神々に戦いを挑んだ。全ての宇宙を内包する「世界泡」の中に君臨する二つの意思「白銀の女神(コズミック・クイーン)/ルミナス」と「紅蓮の魔王(ブラッディ・アイ)/ゾーア=エンドレス」。混沌の海から分化した二つの意思、ルミナスとゾーアの関係は「光と影」「陽と陰」「有と無」「生と死」「聖と邪」「善と悪」そのものであった。光の意思ルミナスは宇宙の寿命を延ばし、守護する者。影の意思ゾーアは宇宙の寿命を縮め、滅ぼそうとする者。両者の戦いは熾烈を極め、やがて決着を迎える。両者が放った最後の一撃は多次元宇宙の全てを消滅させ、その余波で発生した「ビックバン」によって新たな多次元宇宙が誕生した。ルミナスの一撃はゾーアを魂と概念を切り離し、魂を人間の輪廻に、概念を宇宙の外側に封印した。ゾーアの一撃はルミナスに致命傷を与え、ルミナスの消滅の間際に四体の分身を生み出し、自身は新たに生まれた多次元宇宙を支える一本の巨大な樹「秩序の樹」に転生した。こうして、生き残った神々と新たに生まれた人間とゾーアの意思を継ぐ悪魔達の新たな戦いの時代が始まったのである。
作品名:カオス神話伝 作家名:のりたま