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コント ラーメン屋

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コント:ラーメン屋

<登場人物>
甲:ラーメン屋の店長
乙:ラーメン屋の客

***

乙:あれ?こんなところにラーメン屋がある。…この辺のラーメン屋は全部巡ったと思ったんだけど……まだ知らない店があったんだ。よし、ちょっと入ってみよ。

――(店内に入る)
乙:すいませーん――
甲:……。(カウンターから、顔を上半分だけ出して乙の方を覗き込んでいる。)
乙:――ぅおッ!
甲:…。(カウンターから顔を半分だけ出してジッとこちらを見ている。)
乙:え?え?何?
甲:いらっしゃいませ……(物凄い小声)
乙:え?何?
甲:お冷どうぞ……(本当に物凄い小声)
乙:――――マジ卍だぞオイ、このラーメン屋。
甲……(頭をひっこめる)
乙:あ、引っ込んだ。
甲:……。
乙:これ、注文していいのかな、俺?あの、すいません?メニューとかもらえます?

 ――甲、カウンターの奥から紙飛行機を飛ばす。

乙:……おい、なんだ、この、シュールレアリスム。

――紙飛行機を開くと、何やら文字列が描いてある――

乙:何、このメモ
甲:――ウチのラーメン屋のサイトです
乙:……は?
甲:注文とか…全部そこから……
乙:えぇ?
甲:自分、人見知りなんで……そこから注文を入れて下さい……
乙:度を越しすぎだろ。
甲:いえいえ、それ程でも……
乙:それ程のものだよ。“度がK点超え”してるわ。
甲:……はい?
乙:いや、だから、度がK点超えしてるなって……何で俺こんな巧くも無い例え2回も言ってんだよ。
甲:……ウケますね。
乙:うるせぇよ。

甲:とにかく、私は人見知りなんです……。注文とるのも辛いんです…。
乙:なんだよもう。いいよ、今ここで慣れてよ。ホラ、一番普通のラーメン頂戴。
甲:やだ、積極的なリード……
乙.:蹴っ飛ばすぞ気持ち悪いな。
甲:ぇえ……蹴っ飛ばす……!?うわ……人間って怖い怖い怖い。
乙:あ~~悪かった悪かった!……って何でラーメン屋でこんな気の使い方しなきゃいけねぇんだよ。
甲:難儀っすね。
乙:お前が言うなよ。もういいから早く作ってよ。
甲:あ、もうさっきから茹でてますんで……
乙:そうなの?じゃぁいいよ……って――良くねぇよ。何で頼む前から茹でてんだよ。
甲:お客さん―――私には読めてましたよ……貴方の選択が……
乙:やかましいわ。
甲:それこそが私のアビリティ……
乙:友達いない厨ニ病か、お前は。
甲:まぁ、そろそろ出来上がりますから待っててください。
乙:……ってぇことは、そこそこ前から作ってたってことだな。オイ。

 ――乙、ふと考える――

乙:これ、メニューのトッピングとかできないの?
甲:あ、できますよ……もっとも、お客さんがやれるものならね……
乙:何で挑戦的なの?
甲:――選ばせてあげましょう。かかってきなさい
乙:……なんで中尾隆星の声真似をしてんだよ。
甲:――お前も、この前の客のようにしてやろう……!
乙:“この前の客”何されたんだよ。
甲:さぁ、公式サイトを開いて、そのトッピングメニューのページから好きな物を選ぶが言い…
乙:その厨ニキャラになりきれば喋れるんだな?お前は。

 ――乙、メニューを読む。

乙:あのさぁ、これメニューおかしくネェ?
甲:はい?
乙:いや、だって……   全っ部ふりかけじゃん。
甲:それが何か?
乙:いや、だってありえねぇだろ、ラーメン屋のトッピングがふりかけだけって……
  ――ウケ狙いだとしたら薄いし……
甲:いや、まぁ、ぶっちゃけ自分ラーメンのトッピングとか良くわかんないんすよね。
乙:だったらラーメンの職人になんかなるんじゃねぇよ!自営で!!
甲:……(甲、不意にカウンターの内側にしゃがみ込む)
乙:え?何?何?
甲:お待ちどうさまです。醤油ラーメン一丁。(ラーメン持ちながら起ち上がる)
乙:……おい、おい、おい、どっから出した、どっから出した
甲:ほら、早く食べて下さい。冷めちゃいますよ。
乙:あぁ、わかった、わかった。(麺をすすろうとする)
甲:独創的な味を創りだすために、ウチのベランダで栽培してる大麻を出汁にいれてありまして――
乙:ブハッッ!!!
甲:っちょ、なに吐いてんですか!
乙:テメ、なんてもん食わせてくれんだ!!
甲:あれ?違いました?
乙:違うわっ!何無実の人間をジャンキーにしようとしてんだ!!
甲:ど~~も、勝手が解らないんですよねぇ。ラーメン興味ないんで。
乙:その程度の常識も無ぇくせにラーメン屋をすんなって言ってんだろ!
甲&乙:自営で!
乙:って、なんで声カブってんだよ!
甲:…気が合いますね(静かにカウンターの向こうで立ち上がりながら)
乙:うるせぇよ!
甲:友達になってくれません?(静かにカウンターから身を乗り出しながら)
乙:怖ぇぇぇえええよぉおおおおお!!!!!
甲:交換しません?ライン、好感しません?
乙:何か怖ぇよぉ、お前ぇえ!
甲:そんな怯えることないじゃないですか
乙:もういいよ!いいよ、もう!!俺、余所で喰うから!
甲:いやいやいや、ちょっと待ってくださいよ、今、来店して頂いたお客様にお渡ししてるものありまして……
乙:え?何?
甲:家で無農薬で栽培したオーガニックの大麻です
乙:おぉぉらぁぁぁああ!!!!!(手元のラーメンを投げつける)
甲:うわぁあ
乙:蹴っ飛ばすぞぉ、お前ぇ!
甲:何するんですかぁ!
乙:マジ卍だなお前!!頭の悪さが卍解してんじゃねぇのか!!??
甲:うぅう……折角作ったラーメンが……3時間前から茹でてたラーメンが……
乙:そんな前から茹でてやがったんだな、お前
甲:はぁあ……
乙:ガチ凹みしてんじゃねぇかよ。
甲:あ~~立ち直れない。も~~立ち直れない。このショックは“ハッパ”でも解消できない(再びカウンターの向こう側で沈み込む。)
乙:言っとくけど、謝らねぇからな。    あと、ナチュラルに大麻を使ってんじゃねぇよ、さっきから!!犯罪だぞ!!!!
甲:けど、海外では合法ですよ?
乙:ヨソはヨソ、ウチはウチ!!  没収!大麻、没収!!
甲:マジですかッ?
乙:マジだわ!!家にあんのも全部燃やせぇ!!
甲:っく……
乙:お前、マジで大丈夫か?生きてけんのか、これから。
甲:いや、良いんです……(再びゆっくりと起ち上がる)
乙:うん?
甲:今日は、初めて自分をさらけ出すことができましたから……
乙:ウッセェ!
甲:友達になりません?
乙:いい加減にしろ!!


作品名:コント ラーメン屋 作家名:能嶋考稀