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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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   秘密結社ドゲッサー編、第一話「オレ達が仲間になったワケ」

    針屋 忠道















俺は、スカイ。今日は俺が、コモンを追われて南方大陸へトンズラこいた原因となった秘密結社ドゲッサーとの戦いの話しをしようか。これは結構長い話なんだな。ある時期、オレは仲間達と一緒にドゲッサーと言う、悪い奴等とコモンの各王国で、やり合っていたんだよ。だがな、コイツラよりも、俺は身内の問題で困っていた。マグギャランの奴が騎士の使命を果たすために俺達の仲間を抜けたんだ。
 だが、それは、その後に続く災難の予震でしかなかった。とにかく人間関係が酷いったら、ありゃしない状況だったんだ。
 最低の状況だったんだよ。
 それじゃ、どんな所から話を始めるかな。大体分かり易いところからが、いいよな。
 俺だって気を配って話をして居るんだぜ。
 それじゃ。ドラゴンの所から話そうか。
俺達はドラゴンのミレルから仕事の依頼を果たした報酬として……
           (聞き手ノベラーY)



 「皆さん、ありがとう、ございました」
 頭に頭巾のような帽子を被ったミレルがスカイ達に頭を下げた。
 ミレルは何処から、どう見ても少し眼が大きい以外は褐色の肌に黒い髪の美人と言えるが、マグギャランが残念そうな顔をしている通り、種族が明らかに違っていた。ミレルはドラゴン族なのだ。
 ミレルは人間に化ける魔法を使って人間になっているゴールド・ドラゴンなのだ。
スカイ達は浚われたドラゴン族の子供ユレル達を、ならず者ドラゴン暗黒星のダンジョンから悪のドラゴンに洗脳される前に救い出す仕事を受けて、もう1つのパーティ「フェザー・ストリーム」と共に極悪ならず者ドラゴン暗黒星のダンジョンに潜入したのであった。そして幾多のトラップと怪物達と戦い、退けてドラゴン族の子供十匹?を助け出して生還を果たした。まあダンジョンの最下層に居るという極悪ならず者ドラゴンの暗黒星は留守だったし。ドラゴン族と戦う事もなく、スカイ達は機転を効かせて、余り強く無さそうなメンバー達で、この生存不可能なダイハードなミッションをクリアーしたのであった。
 フェザー・ストリームのリーダーのシュド・マーチャーセンが腕を挙げて言った。
「報酬はどうなる」
 スカイも腕を振り上げて言った。
 「そうだ」
 当然の如く、報酬の話となった。働いた者が賃金を得るのは全世界的な、お約束だった。スカイが知る噂では、ドラゴン族は非常に金持ちで金貨や銀貨の財宝の上に寝そべっているという話を聞いていた。当然、これは期待できる話であった。スカイ達はミレル達、自称人間愛護派のドラゴン達に脅されて、半ば強制的に暗黒星のダンジョンの前にワープさせられていたのだ。
 ミレルが言った。
 「それでは、こちらに仕事の依頼の報酬を用意しています。付いてきて下さい」
 そして建物の奥へと歩いていった。
スカイ達はゾロゾロと付いていった。
 マグギャランが腕を組んだまま首筋を掻きながら言った。
 「暗黒星のダンジョンにはモンスターの他に人間が住んでいて、俺達を殺しに掛かってきたが、ここには人間が住んでいないのか。やっぱり、ここにも美女が住んでいるとかいう話がなければウソだろうミレル」
ミレルが言った。
「いえ、私たち人間愛護派のドラゴンは、そう言う事はしないんですよ。フェア・トレードの精神で正当な報酬を支払って人間達を雇っているのです」
ミレルが背中に背負った青い炎模様のギターを直した。ミレルは、これで調子外れの歌を歌う事が好きなのだ。無踏荒野を歩いてる間、スカイ達は下手な歌を、ずっと聴かされていたのだ。
 スカイは言った。
 「アイツ等、何か、変な事言っていたな。人間の世界よりドラゴンの下で働く方が楽で幸せだと言っていた」
 ダンジョンの暗がりで一生を送ると言うのはスカイには理解出来ない事であった。でも日焼けしている奴も居たし、結構ダンジョンの外の無踏荒野で、たまに日光浴でもして日焼けでもしているのかもしれなかった。だが、スカイは無踏荒野の激しい日光で顔が日焼けでヒリヒリと腫れてしまって油薬を塗っていたのだが。
魔法都市エターナル出身の教授で魔法使いのサーチーが手帳を見ながら言った。
 「いやあ、貴重な体験でしたよ。私はモンスター生態学が専門の学者ですから、ドラゴンとの遭遇は貴重な体験です。ドラゴンが人間を下働きに使うとは初めて聞く話ですよ。これは発表したらモンスター学会に衝撃が走る大ニュースです。暗黒星と言ったら、三百五十年程前にコモン全域を征服した有名な暴君「絶望と頸木の王」の無慈悲な施政を手伝っていた悪の大魔法使いで宮宰だった「呪いの渦」が呼び寄せた伝説の巨大ドラゴンです。あの時代は今みたいにデジカメが無かったから伝説と記録画しか残っていませんが」
 サーチーは細密画が得意で、色々なモンスターや迷宮のスケッチを描いていたし、デジタル・カメラで写真を撮っていた。だがメモリー・カードが足りなくなったらしくて紙にスケッチを描いていた。
隣では女格闘家のサブミナが白いパンタロンスーツの埃を払い落としながら溜息を付いていた。派手好きの多い沿海岸州連合王国出身のサブミナは服装を常に気に掛けていた。だが暗黒星のダンジョンの中での戦いで服はボロボロになっていた。

ミレルが言った。
 「見て下さい。この宝物の詰め合わせセットを大体、人間の世界では、まず手には入らない珍品ばかりをドラゴンの長老会議で選んでチョイスしてきました。右の宝箱がスカイさん達の報酬で左の宝箱がシュドさん達の報酬です。どちらにも同じ価値の在る物が詰められています。ですが、2つとして同じ品物は無い珍品ばかりですので全く同じ物は、在りませんから、2つの宝箱の中に入っている宝物は時価総額に、おいて等しい価値を成しています」
細いガラスのような透明な塊で作ったテーブルの上には2つの宝箱が置いてあった。そして、その中には、全く同じ小箱が幾つも入っていた。詰め方も全く同じに見えた。
 スカイは宝箱の中身を値踏みしながら言った。
「ほう、どんな物なんだい」
 だが宝箱の上からでは価値など判りようも無かった。だが、小箱自体も純金製の様であったし高価な事は間違いは無さそうだった。
 「まずはスカイさん達の宝箱から説明します。特大のルビーを、くり抜いて作った瓶に入っている若返りの薬三回分が入っています。この瓶自体に長期保存をするための魔法が掛かっている至高の一品です。人間は寿命が短いから貴重品だと思いますが。若返る年齢は人間の年齢に換算して15歳ぐらいになります」
ミレルが円筒形の箱の中から赤い宝石で出来た瓶を取り出しながら言った。
 スカイは言った。
「ピラミッド・パワーかよ」
 シュドがスカイを遮って言った。