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BIRDS

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[小鳥]



次の瞬間
けたたましい音が、教室中に響き渡る
目の前のパイプ椅子が払われ、引っ繰り返り
金属製の管がかち合い、床に転がる

キーンと響く
その音は、沈黙に慣れた鼓膜に突き刺さる

咄嗟に耳を押さえ
視線を向けた先には怒りに震える少女が、一人

この子はいつも、こう

勝気で短気
溶岩のように、どうにもこうにも冷めない怒りが
沸沸と沸き立ち膨れ上がり、爆発する
丸で、火山

『やめて、よ!』
『イラついてんの、あんただけじゃないんだかんね!』

そうね
あなたは耐えていたもんね

泣き喚きたい衝動に
喚き散らしたい衝動に
全部、ブチまけたい衝動に耐えていたもんね

あたし?

そうね
あたしは、この子のようにしたかったかもね
手当たり次第
パイプ椅子を掴んでは投げ飛ばしたかったかも、ね

けど、そうした結果がなんになるの?

全ては壊せないし
全てを無かったことに出来ないし

『そうだよ、見苦しいんだよ!』

衝動が連鎖するだけ
案の定、あの子が地団駄を踏み叫びだす

『本当は怖いくせにぃ!』
『本当はビビってるくせにぃ!』

『はあ?!、お前、黙れよ!』

『うるさい、うるさい、うるさーい!』
『どいつもこいつも、うるさいんだよー!』

宛ら、小鳥の囀り
あなたもこの子もあの子も勿論、あたしも小鳥

窮屈な鳥籠の中に閉じ込められた
似たような彩りの羽根を着飾る退屈な、小鳥たち

醜い羽根をもつ小鳥は、認めない
美しい羽根をもつ小鳥は、認めない

作品名:BIRDS 作家名:七星瓢虫