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こーぎープリッド
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ナルの夏休み エピソード1

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厳しい現実



 今日の授業が無事終わった。偏差値が高い。つねに満点をとらないとならない。みんな問題を解くのが得意。記憶力も優れている。これから補習に部活。あたしは軽音部に入る。みんながみんなアイドルになろうとは思っていない。中学高校一貫の6年制の全寮制の女学院。転入生が、また入るかもしれない。アイドルにならないで大学に進学する子もたくさんいる。

 あたしは作詞は得意だけど、作曲ができるように、歌が上手になるために軽音部で楽器の演奏の練習をする。午後4時から部活が始まり、6時頃に寮に帰る。
「意外と楽器の演奏は難しい。今は脳を読み取って自動的に作曲する装置もあるけど、作曲は人間がしたほうがメッセージ性がある」
 あたしは喫茶室で、石岡ひとみと話し合う。作詞した歌詞を見せた。
「うーん。私とは全然、感性が違う。大人たちへのアンチテーゼばかり。もっと自分をかえりみたら」
 それを聞いて、カチンときた。いったい何様だ。
「ねえ、もっと謙虚にならないと伝わらないわ。それに、たかが12か13で社会のことなんか知らない。この寮と学院の往復、たまに実家に帰るだけでしょう」
「そうだけど」
「それにネットの情報が常に入る環境だからって、社会全体を知ったつもりはどうなのかな」
 なんなの、この女は上から目線で。
「で、歌詞の内容だけど、『改革』という言葉がたくさんでるけど、いったい何を変えたいか具体性がないじゃない」
 最もなことを指摘された。当然、あたしはグッサと来た。
 少し気が落ち込んだ。とっておきの作詞を散々、いわれた。
「ねえ、私も社会を変えたい。だって経済が停滞しているでしょう。共産主義経済で。でも貧困も撲滅したと同時に犯罪が皆無になった。警察は縮小しないけど。犯罪捜査関係の警察官は暇過ぎて居眠りしているという噂があるの」
「そうよね。警察が暇な方がいいに決まっている。でも、暇なだけ、あたしたちのプライバシーを覗かれる」
「で、あまり過激なことだけは考えないほうがいいわ。政治犯として更生施設へと送られるから。私、あなたみたいな人が好きなの。良いライバルになりそうで」
 あたしは食べ物をうけつけない身体になっている。
「一緒に食べない」
「いいえ。あたしいつも栄養チューブで十分」
「でも、少しでも食べないと内蔵が弱くなるわ。細すぎる身体も健康に良くないのよ」
「よけいなこと言わないで」
 あたしは栄養チューブを飲み込む。喫茶室でお菓子をほおばり紅茶を飲む。
 あたしは食べ物が受け付けられない体になっているし味覚も鈍感。美味しいとか不味いという区別ができない。

 それから、大浴場でリラックスし、身体と髪を洗う。洗濯機に下着とシャツを入れ、パジャマに着替える。

 午後8時まで、学校の勉強の復習をする。短時間で、授業の内容を覚えなければならない。記憶力が優れていなければ、この学院に入れない。