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とある浜辺にて

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波消しブロックは、波を完全に消すことはできない。

 私は今、とある湾を見つめている。

 浜辺は綺麗とは言えず、大小の流木、赤い割れた籠、その他多くのゴミが散乱している。よく見れば、波消しブロックと浜辺の間の、すなわち波が抑えられた部分も、ゴミが多く汚い。

 徐々に沖に目をやれば、緑がかった部分、群青の部分、そしてまた緑がかった部分、緑が少し混ざった青、そのすぐ上に水平線、そのさらに上には、それはそれは広い面色を呈する水色のキャンバスに不規則な白または明るい灰色の模様がある。

 青の中で唯一汚いと感じたのは、その抑えられた部分だけだ。汚いゴミのせいで。

 だが、それが私に一番近い青で、そしてさらに近くで白波が声を上げている。
 声を荒げたかと思うと、自信なさげに後退りしながら、諦めたような声で離れてゆく。しかし、再度声を荒げる。
 時に一際大きく荒げることもある。逆に弱弱しい声で早々去っていくこともある。

 さらに近くには、先に書いた、汚い浜だ。乱雑で醜く、乾燥して、青は皆無に近い。

 しかし尚も白波は声ばかり出している。


 そんな景色を、私は、砂が靴に入らず特にゴミも落ちていない、快適なコンクリートの階段に、今、脚組して見下ろしている。見れば見る程汚く醜く、嫌な気持ちになって、そのため、今私はふと水平線を見た。

 青い。いろんな青があるが、どれも汚くない。水平線の青は凄く惹かれるものがある。その上の水色は、やや無機質で面白みに欠けるが、雲が、いろんな形をしていて面白い。実にいろんな雲があって、さらに上を見上げればその種類の豊富さに、また面白さを感じる。動くものまである。

 その時、私はもはや汚いところは見ていなかった。
 だが、声は絶えず聞こえ、その正体は確実に記憶している。

 また浜辺の汚い部分を見た。

 いろんな物が落ちていて、面白いではないか。

 大きな流木をを触りにいこうと思い立ったので、ここで書くのを終える。よっこらしょ
作品名:とある浜辺にて 作家名:島尾