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そわそわと(双子と三つ子)

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「ちょっと、緊張してきたかも…」

 まだ、人影もまばらな講堂の玄関ホール。

 入学式会場に足を踏み入れるや否や佳子は、そわそわと落ち着かない様子を見せ始めました。

 私が密かに噛み締めていた、高校と言う新天地に立った事への感慨には、微塵も気づく素振りも見せず。

 またかと呆れながら、案内板を目で辿って あるものを探します。

 目的の場所は、廊下の少し奥にありました。

 他人には ほとんど同一人物に見えるらしい双子の姉に、私は耳打ちします。

「まだ時間あるし、行っとけば?」

 佳子の視線は、トイレの存在を示す表示に移動しました。

「亜子ちゃん。待ってくれないと、駄目だからね!?」

 真新しい私の制服の袖の先が指で摘まれ、言葉に合わせて引っ張られます。

 頷いて見せる私。

 安心した佳子は、微妙な早足で歩き出しました。。。