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過ぎゆく日々

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活字の魔法


 かなり前のことだが、ワープロが普及し始め、それを手にした時は少なからず感動した。自分の言葉が活字として印刷されると、まるで小説家や記者にでもなったようだった。そして何より、たいしたことでもないのにそれなりの文章に見え、その内容があたかも真実のように伝わってくることに驚いた。
 
 手書きの文字は心を伝えるもので、活字は真実を伝える。そんな固定観念からだろう、新聞や週刊誌の見出しなどは、疑うことなく、素直に真実と思い込んだ。
 今や誰もがカメラ付き携帯けし電話を持ち、パソコンを扱っている。みんながカメラマンであり、記者であるのだ。また、最近はドライブレコーダーも普及し、ますます臨場感のある光景を目にすることになった。
 
 昔は、写真を撮るというのは特別なことだった。特に趣味にしている場合以外は、記念写真とか旅行の時にしか撮らなかった。大きく重いカメラを持ち歩くのは負担で、なおかつフィルムの入れ替えや店に現像に出すという手間が面倒だった。そして何よりお金がかかった。
 気楽に写真に残せる現在はなんと羨ましいことかと思う反面、膨大な数の写真の管理に追われそうだし、いつどこで誰に撮られているかわからないという不安も感じる。
 また、匿名での記事の情報がどこまで真実か? そしてそのまま拡散され消すことができないという怖さ。便利さの裏には、こうした危うさというものが必ず存在する。
 
 とはいえ、パソコンやネットのおかげで、こうして自分のような素人でも物語やエッセイを発表する機会が持てるようになった。本当に有り難いことだと思う。その根本である活字の魔法。これからも、これにあやかって書き続けていきたい。


       
   2024.3.25



作品名:過ぎゆく日々 作家名:鏡湖