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非常識

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私は鰹節が本当に大好物である。ゆえに高知の日曜市でそれを買った。本場のものは最高
なのである。味、香り、そして薄さも、魅力の一つだ。
だが普通、鰹節は冷や奴とか菠薐草
のお浸しに付け加えるものだろう。
しかし、その程度の量で満足するほどニワカではない。
私は次のような食べ方をした。
どんぶりに、あふれるまで鰹節を注ぎ込み、丼もののように
かっ込むのである。テーブルに溢れ落ちたものも、忘れない。ご飯など薬味に等しい。豆腐
などレベルの低いそれである。

 それを見た祖母が、ケタケタ笑っていた。ゆえに私は、鰹節の魅力を解説し、やはりケタ
ケタ笑うのである。それは嘲笑ではない。それは多分呆れてアホかと思って笑っているのだ
ろうが、しかし嘲笑ではない。

そういうのが通じるのは、そういった親しい人だけだろう。

 見知らぬ民は、異物を見る目で呆れ、嘲笑する。

だが私の鰹節好きは当分続きそうである。


よって、そんな親しい人が欲しいのである。
作品名:非常識 作家名:島尾