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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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LOVE BRAVE外伝 第4話

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 雷鳴が轟く中、通路に沿って進んでいくと、一行は大きな絵巻物のような壁画を目にした。
「あら、これは…『暗黒の大甕(ダーク・ビッグジャー)』の伝説を描いた壁画みたいですね」
「ダーク・ビッグジャー?」
 フィルが聞くと、作者は壁画のほぼ中央に描かれた、底の深い大きな黒い甕(かめ)を手で示した。
「そうです。『ダーク・ビッグジャー』、それは『もう一つの悪魔の大窯(ブラックコルドロン)』とも呼ばれるもので、この暗黒の大甕の名前です」
 作者の語りが始まった。 
「かつて、世界が悪に支配されていた頃、この黒いやつですね。悪夢の王(キング・ナイトメア)がその大甕の力で死の軍団を作り、各地で暴れさせていました」
 フィル、ジミー、スティーブン、そしてホシノさんは作者の示すほうを見ていたが、ヒューゴの視線は別のほうに行っていた。
「しかしあるとき、『人知れず戦った者』と呼ばれる勇敢な戦士たちが、えっと確か…四種の何とかを使って……」
「四種の何とかって、何ですか」
 スティーブンに尋ねられたが、作者は焦り出した。
「えっと…四種の…何だったかしら…」
 仲間たちはあぜんとした。
(えっ、この人、大事なところを知らないの?)
「ごめんなさい、細かいところが思い出せません」
「「「「「ええ〜〜!!?」」」」」
 作者は無理に笑って話を続けた。
「とにかく、その戦士たちはキング・ナイトメアとダーク・ビッグジャーの封印に成功しました。めでたしめでたし」
 途中がごちゃごちゃだった語りが終わると、ドレーク氏の声がした。
「ばかげたおとぎ話などどうでもいい。おまえたちには、こっちに来てもらおう」
「どこに居るの、ドレークさん?」

 作者は、ドレーク氏が映りそうな四角い画面のそばに仲間たちを誘導した。
「この扉の先に何かある気がするんですけど、私の考え過ぎでしょうか」
 作者が言い終わらないうちに、一行の背後で、扉が重い音を立ててひとりでに閉じた。作者はおののくような顔で、仲間たちのほうを見た。
「また閉じ込められましたね…」
 LOVE BRAVEも不安な顔になってきた。すると案の定、四角い画面にドレーク氏の姿が映った。
「そろそろ決戦が始まる。いかにも、ダーク・ビッグジャーはおまえたちの行く先にある。もっとも、おまえたちごときにその力を止めることはできないだろうがな。ククククク…」
 作者は悔しそうな顔をすると、ドレーク氏に言った。
「いったい何が言いたいのよ、ドレークさん?」
「最後に笑うのは『愛』と『勇敢さ』とやらか、それとも『暗黒の力』かが、間もなく決まるだろう。次のホールに来い。おまえたちはダーク・ビッグジャーに飲み込まれないよう、せいぜい注意深くしていろ。ハッハハハハ…」


 画面の中のドレーク氏が消えると、スティーブンが口を開いた。
「俺、もう決めました、覚悟」
 彼の発言に皆が驚いたが、フィルが彼の肩に手を置いた。
「よく言った、スティーブン。僕らも、君と心は同じだ」
 ヒューゴとジミー、ホシノさんも深くうなずいた。作者は強気な笑みを浮かべると、あらためて仲間たちを見て、力強く言った。
「皆さん、ここでもう一度、あなた方のバンド名を言ってみてください」
 フィル、ヒューゴ、ジミー、スティーブンは、声をそろえて自分たちのバンド名を叫んだ。
「「「「LOVE BRAVE!!」」」」
「ですね!今こそ、『(メンバー間の)愛』と『勇敢さ』でもって、悪の勢力をぎゃふんと言わせちゃいましょう!!!」
「「「「「うおおおおお!!!」」」」」
 今度はホシノさんも一緒になって、拳を上げて熱く答えた。そして、作者は仲間の一人一人と手を握り合った。