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HAPPY BLUE SKY 前編2

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もうすぐ卒業式 その1



訓練校の卒業式を3日後に控えた私は、部屋で荷造りをしていた。

あの日‥少佐からの思いがけない言葉に驚いたが。結果は私にとっては、ベリーハッピーな事だった。私は最初、この部に来た時は正直【やっていけるのか】不安を抱えていたが、今思えば、先輩達は言葉は荒かったが、訓練生の私に色んな事を教えてくれた。またそれが上手くできたら、ボディアクションを交えて褒めてくれた。頭を軽く叩かれたり、また頭を指で突っつかれたりした。日本では私にそんな事をする人はいなかったから。私は嬉しかった‥少佐も同じようなアクションをした。あの人は雑誌や書類の入ったクリアーファイルが多かったが。時々、あの大きな手で22歳の私の頭を子供みたいになでてくれるのだった。それが嬉しい22歳の私だった。

もう後は卒業式を待つだけの訓練生は、浮かれていた。わかる気もする。この1年間は【訓練・講義・実習】尽くしで遊ぶヒマもなかった。また課題やレポートも多かった。授業が終わっても机に噛り付いて、課題やレポートを仕上げたものだ。また私は【お勉強好きな少佐】に支部に居る時は抜き打ちで問題を出される。

「カッジュ訓練生!XX国の3代前の大統領は誰だ?副大統領も答えろ」
キッチンでコーヒーをドリップしている時に、少佐に問題を出されるのだ。タマったもんじゃないわ。でもデキないと、あの大きな手で頭ビシッと叩かれて。デキたら次の問題が用意されてるのだから。私としては気が抜けない。だから、私は訓練校のホームワークの他に少佐からの質問事項に答える為に勉強したものだ。今もその部分は継続中だけど!

また配属先が決定になってから、少佐はこう言った。
「配属前のミニ休暇予定はあるのか?カッジュ」
私は特に決めていなかったので「予定はありません」と答えてしまった。
それが運のツキだった。 (-_-;)
「俺から訓練校卒業祝いだ。実戦に出る前によぉく頭に叩き込んでおけ。訓練校で習ったもんなんぞ、実戦では役に立たんから」
少佐は帰り際に私に紙袋を2個手渡した。その紙袋の重たかった事‥手が痺れるぐらい重たかったのだ。それだけ膨大な資料が入っていたって事だ。私はその日から深夜までデスクに座りっぱなしだったのは言うまでもない。

何だかんだと言っても、実習先で3ヶ月も一緒に居るとそれなりに【フレンドリー】になってくる。私も例外ではなかった。特にこの二人とはケンカ友達みたいになってしまった。
ツィンダー先輩がイケナイのだ!すぐ私に絡んでくるから。仲介に入ったヨル先輩も私とツィンダー先輩の【ケンカ】に巻き込まれる。1日に1回はアーノルド指導教育係・ビリー副指導教育係に怒られた私達3人である。また私が正式配属が決定になってからは、遠慮がなくなったツィンダー先輩だ。事あるごとに【俺の方が先輩だ】と言い絡んでくる。

部の先輩達は私とツィンダー先輩の【ケンカ】を【仔犬のじゃれあい】と言っては見て笑っているのだ。先輩達はどうやら面白がっている様子だ。少佐も結構見て楽しんでる時があるんだから。この前も笑ってたもん!

今日は部に差し入れがあった。それは表通りのショップの焼き菓子のサブレのだった。私はこのサブレが大好きなのだ。ツィンダー先輩には内緒だが、少佐のリクエストをクリアーしたので【ご褒美】に少佐に1袋買ってもらったのだ。美味しくて1袋全部食べてしまい、少佐に「一気に食うな!見てる方が気持ち悪いぞ」と怒られたが。私はまだ1袋は食べれると思ったが、言わなかった。言ったらもうサブレ買ってもらえないと思ったからだ。

そのサブレがボックスで部に届いたのだ。部に届いたものは部員の【オヤツ】だ。少佐とディック主査は甘い物を食べない。この二人はヘビースモーカーだし。他の部員達は食べても1枚か2枚だ。ゲイル先輩は【甘い物はお肌の大敵】と言って一切食べない。これだから、私達3人の分け前は増えるんだ‥でケンカになる。今日は1人頭サブレ5枚になった。ところが、キッチンに中佐が入って来て‥
「俺も要らん!カッジュ食え」と私の手にサブレを3枚くれた。また後ろにハインツ先輩がいてサブレを2枚くれた。これで5枚増えたことになる。それでケンカだ!

「か‥カッジュ!ってめぇ!先輩に譲るって気持ちはないのか!」
「誰が3枚も取るんだ!俺達が1枚ずつで、最下っ端も最下っ端のおまえが何で3枚なんだ」
「中佐はカッジュにくれんたんです!だから私が3枚!ツィンダー・ヨル先輩はハインツ先輩の1枚ずつでいいでしょう」キッチンの中で【口論】となった。

俺とTOP4人は、この低次元の争いにキッチンのカーテン越しにため息をついていた。TOP4人は俺の顔を見た。俺は眉間に指を当て軽くうなづいてから、カーテンに手をかけた。
作品名:HAPPY BLUE SKY 前編2 作家名:楓 美風