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陰陽戦記TAKERU外伝 ~拓郎編~

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2章,闇からの誘い



 食事を終わらせて洗い物を済ませると部屋の真ん中に布団を敷き、その上に横になった。
「はぁ……」
 電灯がぶら下がる木製の天井に向かってため息を零すと石動さんから貰ったグローブを見上げた。
 そして石動さんに言った言葉を思い出した。
『すみません、そのお話……お断りさせてください』
 それが僕の答えだった。
 石動さんが言う『ある人』と言うのは心当たりがある、でも僕はもう戦いたく無かった。
 誘って貰って申し訳ないと思ってる、陰陽師になればいつか先輩や皆に会える機会が増える…… そうなれば話もできるし時々遊ぶ事も出来る。
 けど陰陽師にならなくたって会いに行く事はできるし遊ぶ事も出来る、先輩以外の人がどこにいるか分からないけど、先輩は今京都の…… とても有名な所でがんばっている、聞けば皆の場所も分かるはずだ。
 だけど僕は今のこの生活の方が大事だった。
 何の変哲もない毎日だけど、陰陽師になるとこの生活が無くなってしまうんじゃないかと思ってとても恐かった。
 僕はもう戦とは無縁の存在になった。
 日々はもう終わったんだ。心の中でそう呟いた。

 本当はこのグローブは返そうと思った。
 でも石動さんは断った事は気にしてはいないだろうし、無理強いもしてこなかったけどこう言って来た。
『そうか、まぁ法力を持っていても使うかどうかを決めるのは君自身だし別に文句は言わん、ただ私も頼まれた手前これを渡さなければいけない…… 持つだけは持って置いてくれ、そして力が必要になった時は連絡してくれ』
 勿論連絡先とは名刺に書かれている電話番号の事だ。
 ちなみに名刺は部屋の隅に置いてある机の引き出しの中に入れてある、小学校の頃から使ってる学習机だ。
「みんなはどうするのかなぁ?」
 きっと陰陽師に誘われたのは僕だけじゃないはずだ。
 香穂ちゃんや桐雨さんも多分誘われてるはず、三条先輩はどうか分からないけど……
 そんな事を考えている時、充電中の携帯電話にメールが入った。
「ん? 大介?」
 僕はメールを開く。
『やったぜ脈あり! 今度こそ行ける! 必勝法もバッチリだ。陛下に感謝だぜ!』
 と書かれて、さらに写真も送られて来た。
 携帯を左手に持ってるんだろう、すっかり出来あがって顔が赤く火照り、並びの悪い歯を見せて笑いながら右手でピースを作っていた。
 こいつは幸せだな……
 僕はとりあえず『良かったな、がんばれ』と返した。