小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

「歴女先生教えて~パート2」 第二十三話

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
美穂の歴史の授業は中国を中心に進めてゆく。

「秦は始皇帝が無くなった後項羽と劉邦によって滅ぼされ、そのあと漢となり長く平和な歴史を続けたと前回話しました。これには大きな理由があったの。項羽と劉邦が覇を争っている隙に、匈奴(きょうど)という国に英雄が登場して、再び中国に侵略を始めるの。万里の長城に守られているとはいえ、劉邦は匈奴との戦いにすぐに敗れてしまいます。そして、賠償金を払って、もう戦争もしないから仲良くしてくださいと匈奴の弟分、つまり臣従国家(しんじゅうこっか)になるのね。
これが結果的には賢明な政策だった。元々中国は豊かな国なので、多少お金を払ってでも平和が手に入るなら、その方が得だと考えたの」

「豊かではない国だとしたら、滅ぼされるしか選択肢はないのでしょうか?」

「うん、この時代ならそうだったかも知れないわね。たとえ家畜や農産物が無いとしても人間は奴隷として使えるから、侵略するのよね。他国を侵略するときの先兵として奴隷兵を使うのが当たり前だった。蒙古襲来と言われる文永の役(1274年)と弘安の役(1281年)の時も、南宋を支配した元(げん)の先兵として奴隷兵が使われた。それは朝鮮半島の平民たちも同じ憂き目に遭わされているの」

「自国民への被害を少なくするという作戦ですね?」

「それもあるけど、戦って勝利すれば重用されるだろうという希望的観測から、またはそう言い含めていたのかも知れないけど、とても戦力になったという訳。実際に戦闘体験があるから鍛えなくても間に合うという事よ。
劉邦が死んだあと文景の治(ぶんけいのち)と呼ばれる40年間の平和な期間で、漢はたいへん豊かな国家となっているの。ここで、好戦的な武帝(在位:BC141-87)が登場して、お金もあるし、軍隊もあるのに、何故匈奴に臣従する必要があるのかと考えて、匈奴と大戦争を始めるのね。
そして20年も戦い続けてついに匈奴の関係を逆転する。つまり、匈奴を臣従させることになったの。司馬遷(しばせん)の史記が書かれたのはこの時よ」


*紀元前までの歴史の中で四大文明から世界帝国の支配に至る関係を振り返ってきましたが、もう一つ文化史の面で「知の爆発」と呼ばれる現象に触れてみます。
BC500年頃から中国・ギリシャ・インドでほぼ同時に多くの哲学者・思想家・宗教家・芸術家が生まれました。
人間が考えるほとんど総てのものが、この時代に産声を上げたのです。

その背景にあったものが、鉄器の普及と地球の温暖化でした。
この二つのことで農業の生産性が上昇し、世界は一気に高度成長時代へと入ります。
社会に芸術家や知識人を養う余裕が生まれたという訳です。