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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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白い椿

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庭に出ると、紫色のモクレンの大きな花が咲き始めたようだ。その隣には10日ほど前から、白いライラックの花が咲いていて、とても良い香りを運んでくれる。少し離れたところには、白のハナミズキも咲き始めた。そのそばの桜は葉桜となり、良く観ると何輪かが花を咲かせている。その根元にはシャガが白い花の中に青い模様があり、涼しそうに咲いている。クリスマスローズも3カ月近く咲いている。薄い緑色の大きな花は観ていると、花の中に気持ちが吸い込まれていくようだ。鉢植えのパンジーからも良い香りが漂う。地植えのエビネもしっかりと花芽を伸ばし始めた。カイドウの花は盛りを過ぎて、花弁を落としている。
 せっかく咲いてくれた花であるが、ゆっくりと観てやれない。連休前で仕事が忙しくなっている。藤棚の手入れもしなくてはいけない。すでにつぼみが出来ている。
 花の手入れが楽しみでもあるが、手入れをしなければ良い花は咲かない。今年は間に合わないが、これからは、もう少し植木屋さんにやってもらおうかと考えた。バラの消毒もある。そんな事を想いながら 白のツバキを切って妻に渡した。


作品名:白い椿 作家名:吉葉ひろし