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チャーリー
チャーリー
novelistID. 62122
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TSUGARU 第1章 プロローグ

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よく分からないけれど、気がついたら自分を見失っていた。淡々と過ぎて行く時間が、あまりにも多すぎる。無情に去る時の中で、いろいろ考えすぎてしまったようだ。
 以前から四月になったら旅をしようと目論んでいた。行き先は青森県と秋田県。もうすでに切符は買ってあるし、ねぐらも確保できている。後は旅の当日を待つだけとなった。
 青森や秋田へ行くのは、いつ以来の話になるだろうか?父が青森出身なので、小学生の頃は毎年青森へ行っていた。それが夏休みの一大イベントだった。ところが、いつからか青森からも足が遠のいてしまい、最後に青森へ行ったのがいつの話だか思い出せなくなってしまった。秋田に至っては、最後に行った時のことを断片的にしか思い出せないぐらいだ。
 所沢の桜の季節も、あっと言う間に去ってしまった。しかし、東北地方はこれから桜の季節を迎える。出発の数日前の時点では、どうやら現地の天気は少し雲が多めの予報だった。花曇りというやつか。せっかくの桜なのだから、晴天の下で見たいもの。でも、天気ばかりはどうにもならない。雨さえ降らなければいいと割り切ろう。
 見失った自分を見つけるのは、大変かも知れない。けれど、いつもと違う空気を吸い、いつもと違う風景を見たら、思っていた以上に簡単に見つかることもあるだろう。そういう期待を胸に、愛する東北の大地へと旅立つことにした。