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私は常雄右腕。
 弁護士だ。
 私は、いつものように依頼人の弁護に駈けずり回る日々を送っていた。
 そんなある日、私は、いきなり刺された。

 刺したのは女だった。

 私は、訳がわからなかった。
 この女は誰なのだろうか?
 薄れいく意識の中で、聞こえた言葉は、、

 「私と一緒に死んで……」

 気が付くと私は、病院のベットの上にいた。
 横には、さっきの女がいた。
 女は、私に必死で謝っていた。

 彼女の説明では、自分を裏切った彼氏と間違えて刺してしまったのだそうだ。

 間違えた理由は、その彼氏と私の顔がソックリだったからだそうだ。。

 私は、困った。困惑した。
 その中で、一番の問題となるのは、仕事だった。
 傷は幸いにも浅く、しばらく入院すれば助かるそうだ。、
 けれど、私は、急ぎの仕事を沢山抱えていた。

 私は、小さな弁護士事務所を仲間と経営していた。
 仲間は、経理担当や雑務ならこなせるが、私の代役にはなりえない。
 このまままでは、事務所の信用がガタ落ちになってしまう。

 普通、弁護士は、同業者とある程度のネットワークを持っていて、
 自分に何か起きたときの為に、代役を作っているものである。
 私も代役が居るから、頼むことになるのだが、とても悔しい。

 事務所が失望されて、普通の仕事が奪われるなら、私も許せる。
 けど、今回の仕事は普通の仕事などではない。
 私たち事務所の未来が掛かっている。

 この案件は、企業の権利訴訟に関するもので、莫大な資金が動いている。。
 1回の弁護報酬も千万単位で動くのだ。
 こんな稀な案件、小規模事務所に転がり込んで来るなど、もう永遠にないかもしれない。
 この案件を勝ち取れば、私たちの事務所は、企業権利分野で一気に有名になれたかもしない。
 このチャンスだけは、失いたくなかった。

 私は、一年も掛けて、裁判を闘う準備をしていた。
 あきらめる事など出来るはずがなかった。

 私は、彼女を責めた……

 だが、彼女に、責任は取れるはずもないし、法律上責任もない。。
 彼女は、私がこんな重大な案件を抱えているなんて知るよしも無いからだ。
 一般的な人が受けるであろう、損害を彼女は負担すれば良いだけだった。

 彼女は、何とかして、罪を償おうとした。
 思えば、彼女も辛い思いをして、こんな事件を起こしてしまった。、
 彼女のひたむきな姿勢を見ることで、許したい気持ちになっていたのかもしれない。

 時は経ち、冷静になってきた私は、あの重大な案件に踏ん切りがつき始めていた。

 彼女は、変わらず、私の銀行口座に、慰謝料を振り込んでくれている。。
 だが、その額は、一般的な人が受けるであろう慰謝料を遥かに超えた金額だ。
 慰謝料の契約時、彼女は私の意志を尊重してくれて、譲歩してくれたのだ。

 だが、私は、疑問に思った。
 普通の人が払い続けられるような金額では無かったからだ。

 私は、事件直後は、我を失って興奮状態であった。
 だから、余裕がなく、彼女のことは、あまり知ろうとはしなかった。
 彼女は、一体、どこから、お金を捻出しているのだろうか。

 私は、彼女の事が気になった。
 間違った慰謝料を返す為も含めて、彼女に会うことにした。

 彼女に連絡を取り付け、カフェで待ち合わせることになった。

 彼女は、躊躇していたが、喜んで私の金を受け取ってくれた。
 私は、彼女の仕事について聞いてみたが、教えてはくれず、そそくさと、帰ってしまった。

 気が付くと彼女は、自分のハンドバックを忘れて帰っていた。。
 私は、走って届けにいった。
 追いかけた先で、彼女は風俗店に入っていった。

 私は、足が止まった。
 私の金を返すために、ここで働きだしたのだとしたら……
 私は罪悪感を感じた。
 彼女は、私に、知られたくなかったのだろう。
 でも、もう働く必要など無い。

 私は、風俗店の係りの人に、忘れ物を届けて帰ろうとした。
 だけど、嫌な感覚があった。
 言葉では説明できない嫌な感覚……

 私は、この店の届出を調べた。
 無許可営業だった。
 私は、気になって、彼女に連絡をした。だが、繋がらなかった。。

 私は、嫌な想像をした。
 私が弁護士であることは、係員に彼女の忘れ物を渡した時、弁護士バッチでばれた気がする。
 だとしたら、闇の風俗店は、もみ消そうとするだろう。
 彼女に連絡が付かないのは、彼女に危険が及んでいる可能性があることになる。

 私は、その風俗店に行てみたが、時既に遅かった。
 店には誰も人は居なくて、彼女の住まいは引き払われていた。
 彼女は、消息不明となっていたのだ。

 私は、念の為、彼女の親御さんの連絡先を調べて見たが、彼女に家族は居なかった。

 だれからも、捜索願も出されない。
 だれからも、助けるられることは無い。

 私は、この時、初めて闇の世界の卑劣さを知った。
「私が助ける」
「奴らは、私がぶっ潰す」

 私はまず、弁護士のネットワークを使い。
 過去の暴力団関係の案件を徹底的に調べた。
 私の気持ちが通じたのか、警察関係者に、つながりのある弁護士が協力してくれた・


 調べていくと、
 奴ら違法風俗店は訴訟の警告を受ける段階で逃げている事がわかった。
 偽名を使いヤバクなった逃げる。別の土地で、また偽名を使い風俗店を経営する。
 同じような手口で、全国を転々と移動していた。。

 だが、奴らの正体、居場所などは特定できなかった。
 別の暴力団達も同じような手口で違法風俗店を経営していて、それが無数に存在するのだ。どの風俗店が、どの暴力団と繋がりがあるのか、全くわからなかった。


 弁護士仲間の話によると、
 日本中のあらゆる土地で、これと同じ犯罪が繰り返されているのだそうだ。、
 警察も犯人を捕まえても捕まえても、違法風俗店の数が減らない事に嫌毛がさしているのだそうだ。、

 私は、腹が立った。。。
 奴らや組織もそうだが、全ての人間にも……
 そこに通う客、そこに違法風俗店があるのに、周りの人間が気づかない無頓着さ。

 だが、それは、自分に対しての言い訳だった。
 元はと言えば、私が彼女を追い込んだ様なものなのだ。
 私は、自分自身の無頓着さに腹を立てていた。

 せめて、彼女から、連絡さえあれば、助けられる希望はあった。
 だが私の携帯が鳴ることは、一度も無かった……
 ・
 ・
 ・
 気が付くと、私の生き方は変わったいた。
 企業相手の金儲けの主義の様な依頼は断るようになり、、
 暴力団相手の訴訟に勤めていた。。

 私は、日々、暴力団の証拠の調査をしているうちに、刑務所にいる一人の囚人に、ある話を聞いた。
 その囚人は、私の調査などに簡単に応じてはくれずに、ふざけていた。

 囚人は、昔の女の話をぺらぺらと、話していた。
 その話の中に、失踪した彼女を連想させるワードがいくつも入っていたのだ。
 確信を持ったのは、この囚人の顔だった。
 丸刈りで、一見すると、判らなかったが、わたしの顔にソックリであったのだ。

 囚人は話を続けた。
作品名:Aの文体 作家名:西中