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やすおと鈴木のロングバケーション

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今日も今日とて虐待を受ける少年が居る。
少年の名はヤスオ。6歳。
今日も母親の提示する体罰を受け入れベランダに放り出される。

少年が住んでいるのはマンションの3階の角部屋である。
通りからは見上げても少年の姿は見えない位置であり少年に気が付く者はいない。。
だが、そもそも少年は助け自体を求めない。

なぜなら長い時間の暴力に耐える事で免疫が出来てしまっているのである。
耐えるのが当たり前だと認識していて仕事だと思っているのである。
そして何より仕事をした分だけの見返りが得られるからこそ耐えられるのである。

昔は何度か保護団体が家に押しかけてきたこともあった。
だが仕事を奪われることに恐怖する少年は断固として虐待の事実は認めない。

そういう経緯もあって親も虐待に対する世間の目に敏感になるのであるが、
その虐待行為も、ますます巧妙化するのであった。

殴るときは風呂場でシャワーを流しながら、その音を掻き消すのである。
もはや隣人でさえも虐待の事実には気が付くことはない。
壁越しに耳を当て澄ます等でもしない限り虐待は世間にはバレナイのである。

そうして今日も少年は、いつもの様にベランダで時間を潰す仕事をしているのである。






今日は寒いな・・・
でも、もうちょっと我慢すれば、ご飯を食べさせてもらえる。
ママの笑顔も、ちょっとだけ見れるかもしれない・・・


少年は、いつもの様にベランダで我慢をしていたら、
ベランダの端っこにゲームが落ちているのを発見した。

少年に疑問が生まれる、
だが、子供であるから深くは考えることはない。
そのゲームは少年が欲しかったゲームであった。
夢中になって少年はゲームで遊ぶ。

「このゲーム面白い?」

どこからとも無く声が聞こえる。

少年が、声の方向を見ると大きな顔を見つける。

その顔は隣の住人のベランダから、にょきにょき生えている。
そのニョキニョキと生えた顔は言う。

「それ僕のゲームなんだけど面白い?」

少年は一瞬、驚くも、ゲームをくれた人だと直ぐに理解し感謝の意を示す。

「部屋に戻る時は、そのゲームを返してね。」
「明日、また、貸してあげるよ・・・
「でも、その代わり、このことは親には絶対言っちゃ駄目だよ。またゲームが親に見つかってもいけない。
「約束を守らないとゲームを貸してあげないからね。

その顔は、少年と約束を交わした後に消えていく。



翌日。。
少年はゲームをやりたくて幼稚園から帰るなりベランダへ直行する。
ベランダから顔が生えてくるのを期待して待つこと1分・・
顔がニョキと現れてゲームを貸してくれる。
そして顔は新たにイヤホンなるもを貸してくれる。

「このイヤホンなら周りにゲームの音が聞こえることはないよ。
「押入れの中でゲームをすると、ママにバレナイよ。

そう言って顔は、少年にアドバイスをして消えていく。


そうしてゲームを返す貸すのやり取りが、毎日のように続くのであった。
ゲームは常に新しい物へと変わり、少年の好奇心を満たし続けた。

少年が小学校に入学してしばらく時間が経った頃。
ベランダに現れる顔は、新しいことを提案する。

「こっちの部屋に遊びに来るかい?

少年は躊躇もせず、お隣さん家に、おじゃまするのであった・・・









 お隣さんの家の玄関先にて背伸びをする様にとチャイムを鳴らす少年。
 おもむろにドアが開き鈴木さんが手招きをしている。少年は玄関先で靴を脱ぎ揃える。それを確認した鈴木さんは少年を奥へと誘導する。
「お邪魔します~」と挨拶をして部屋に入る。。
 台所を抜けて鈴木さんの先導で連れていかれた奥の部屋で少年は視線を忙しくし、いろいろな所を見ている。
 驚くのも無理はない。部屋にあるのは少年の興味をそそるであろうプラモデルやら玩具、ゲームが選り取りみどりの様にあるのだ。少年にとっては、この部屋は羨ましいと思ってしまうのである。
「うわ~何これ?」
 少年が、まず興味を引いたのはロボットのプラモデルである。
「これ触ってもいいかな?」
 少年は鈴木さんに了解を求める。
 鈴木さんはベットの上に腰掛けると少年を見ながら手を差し向ける。
 どうぞという合図だろう、その鈴木さんの合図に少年は嬉しそうにプラモデルを触る。その少年の後姿を鈴木さんは、まじまじと眺めていた。
 その後、少年は鈴木さんとゲームをして楽しみ、日が暮れていった。
 時計の針は6時近くを回り少年は門限の時間になり家に帰る。
 その帰る少年の後ろ姿を惜しそうに眺める鈴木。
 玄関先で靴を履き出て行く少年の姿を最後まで眺めているのだった
 少年は、その日からというもの学校から帰るやランドセルを置き、隣りさんの家に遊びに行くのだった。鈴木さんの家からは何時も少年の絶え間ない笑い声が聞こえた……

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お隣さん家は、とても凄かった。
何が凄いかというと、ロボットの玩具とかゲームとか、いっぱいあって、とにかく凄いんだ。

鈴木さんはとても優しくて僕に何でも教えてくれる。
お菓子もおごってくれる。

僕は、鈴木さんと、とても仲良くなり、気付くと毎日遊びに行った。
そして兄弟になった。

「お兄ちゃん! 今日も遊びに来たよ~」

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 それから約一ヶ月後、この頃から、母親の帰りが遅くなり始めた。
「早く帰ってこないかな。お腹すいたよ~」

 最初は、予定より少し遅くなる程度だった。
 それが次第に、そして当たり前の様になり、食卓には予めスーパーで買った弁当が置いてある様になり、母はやすおと一緒に食事も取らなくなった。
 母親には男が出来て、やすおが寝る時間になっても帰らなくなり、朝帰りもしばしば起こる様になる。
 毎日食べていた弁当も用意されなくなり500円玉が置かれるだけであり、もはや育児放棄とも呼べるものになった。それは更にエスカレートしていき2日続けて帰らないという事も起きた。やすおが自分で買い物して自分で食事が出来ると母親は理解したのであろう。
 やすおは寂しさのストレスでオネショをする様になるのだが、そんなやすおの気持ちを理解できない母は、いつもの様にしかりつけて罰を与えるのだった……
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少年のその様子を知った鈴木さん、貴方ならどうさせる?

~選択肢~
鈴木さんは、どうする?

A泊める
Bほっとく

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Bほっとくを選んだ場合

やすおは、今日も母の帰りを待っていた。
と、その時、玄関のチャイムが鳴る。
今日は早い帰りの様で、玄関口へと歩み寄る。
ところが玄関を開けて入って来たのは黒い覆面を被った男たち・・・
手にはナイフを持っている。強盗だ!
少年の命運は、ここで尽きた・・・




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A泊めるを選んだ場合


「どうせ今晩もお母さん帰ってこないのなら、私のところに泊まるか?」
 そう切り出した鈴木。