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小説家ヤンヤンの師匠

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小説家ヤンヤンの師匠

「世の中にはツマラナイ小説が多すぎる。」。

けど、そのツマラナイ小説も最後まで読みきると実は面白い。
だが、読みきるまでつらい。
作者は自己満足で書いているのだろう。
事前知識のない読者を置いてきぼりにしているものが多すぎる。

「へん!!俺は、細かく情景描写を書いてるぞ!!
「読者に対して、親切心で説明してやっているんだぞ!!
一人の売れない小説家が、意見してきた。

「ふざけんじゃねーーーーーーーーーーー!!!!」
俺は、そいつをぶん殴ってやった。

この売れない小説家は、親切心を勘違いしいる。
細かい情景描写は、読者には関係ない。

ありがちな小説の出だしはこんな感じだろう。
「深夜。月明かりに照らされる、キラキラと輝くその女は・・・

深夜?月明かり?照らされる?
それが何だと言うんだ!!!
これだけ読んでも何も感じないぞ!!!!
全く意味が無いじゃないか。!!
は~~~目が疲れた。俺はドライアイだから、一行読むのが限界だ。
好奇心もかりたてられないのに、次の行に進む気なんて起きやしない・・・
作者が書いた300Pの大量の文字列は、俺の中で無意味な存在となった。

じゃあ、どんな文章の始まりがいいってかって?

そんなの自分で考えろよ~~~~
売れないお前のことなんて、俺が知ったことかよ~~

売れない小説家は、翌日、俺に体を貢いできた。
ハードゲイな俺にとっては、これ以上無いくらいの、ご機嫌取りだ。
俺は、売れない小説家に、「ヤンヤン」という名をつけて可愛がった。。。

「しょうがない。ヤンヤンに俺の文章のテクニックを教えてやろう。」
それは・・・
沢山の本を読んで研究して思うことを書くことだ・・・
なんて、無責任なことは、言えないな・・・・
調子にのってはしゃぎ過ぎて、何も考えてなかった。
この危機的状況をどう乗り切ろうか・・・

おおお!来た来た!!インスピレーションの神様が降りてきた。

「では、極意を教えて差し上げよう。。。。。漫画家になれ!!!」
「キョトンとするな。これから、説明してやる。」

「ヤンヤンの文章がつまらないのは、自分の頭の中の映像をそのまま文字化していることにある。。
「テレビ画面で見たものをそのまま忠実に書いていると考えてくれ。
「テレビの映像には、沢山の情報がある。
例にとって見ると、交差点に車が10台いたとする。
その10台のそれぞの色が全て違うとして。その違いを、文章で説明すると、どうなる?

右端の車は赤。隣は緑、その奥は黄色・・・

こんな文章、理解するのは面倒である。。
写真、見るほうが超簡単。

ヤンヤンの文章もこれと同じようなもので、
理解するのに、めんどうなことが、一杯書いてるのだ。
けれど、その文章を写真化、もしく映像化して、まとめて見ると、簡単に理解できてしまう。

その写真を連続して見れば、ヤンヤンの小説は面白いと言える。
だから、映像化できる漫画家になれと、言っているんだ。

「何!?漫画家じゃなく、小説家になりたいだと。。」。

「しょうがないな~~~この我侭ヤンヤンちゃんめ~~~」
いちど、肉体関係を持ってしまうと、どうして、情が移ってしまうのか・・・
は~~~情けない。

でもどうするよ。方法がないぞ。
誰にも読まれない。
小説自体が売れない、そんな状態で小説家として、食えるには。。。


おおお!来た来た!!インスピレーションの神様が降りてきた。

「権利収益だ!!その小説を漫画家やスポンサーに売り込んで作ってもらえ!。それで売れた印税を貰うだ」
ヤンヤンは、それを聞くなり、直ぐに売り込み行こうとした。

「まてまてまてまてて。-----------!!!
「ヤンヤン・・君は、馬鹿の神様か?
「読むのが困難な小説で売り込みをするつもりか???
「漫画家や、スポンサーになる人は、とっても忙しいのだぞ。
「つまらん文章を読む暇さえない。もう少し考えろよ。

ヤンヤンは、泣き出した。

「ああ、、泣き顔が可愛い、いじめたい。
「けど、可哀想・・・

俺は、欲情する自分に活を入れた。

「あああ!!ごめんごめん。パパが悪かった。許してくれ。」
俺は、いつパパになってしまったのだろうか・・・

「まあ、いい・・・良く聞けヤンヤン」
「ヤンヤンの本で自分が面白いと。思うシーンがあるだろう。
「その全てで、登場人物それぞれの感情だけを離すんだ。

「ちょっと難しいかな。。。主人公と同じ気持ちになるというのでもいい。
「その気持ちと同じ感覚になれる物語を書いてみなさい。
「単純でわかりやすい。一人称で書くのがいい。
「全く別の物語が出来上がると思うが、同じ感動が得られるはずだ。

「それが、出来たら後は簡単だ。
「その出来た小説で売り込みをする。
「この小説は、本体の小説で体験するであろう感動を簡単に、スポンサーに伝えることができる。
「その感動が、本体の小説に散りばめられていることを理解してもらえば、道は開ける。
スポンサーは、小説のあらすじと感動だけで、本体小説の内容を推理想像する。
それが、スポンサーの好奇心をそそるものなら、前向きに事が運ぶことだろう。

実際、スポンサーは、売り込まれたシナリオの、最初、真ん中、最後を少し読んで、
面白かったら、読み始める。
その短い時間で、偶然にも退屈なシーンが書いてあったら、その作品はボツにされる。

面白い物語は、こうして埋もれて消えていく。。
書いてから10年以上経過して、が世に認められる作品出てくるのは、こういう事情があるからだ。
奇跡的にスポンサーが気が付いてくれたのだ。

と、いってももスポンサーにとっては短い時間ではない。
担当者によっては、一日100本ほどのシナリオを読み分析しているらしく、
1本に割り当てられるのは、3分ほどになる。
3分もあれば、短編小説の一つくらいは、読んでもらえる。

スポンサーは推理と想像力で、ストーリーが売れるかどうか分析しているのは事実である。
だから、登場人物が陥るであろう感動と、本編のあらすじを伝えられれば、
自分が思う本編に近い物語を担当者が勝手に想像してくれる。
ある意味で、本編を最後まで読まれた事と同じになる。

それで、スポンサーに興味を持ってもらえたなら、勝ったも同然。
仮に小説に部分的に悪い所があったとしても、
スポンサー側で修正してくれる。

もともと、修正されるのが当たり前の世界である
ドラマなら主役やスタッフ、場所取りの関係で、物語が大きく変えられることもあるし、
漫画も同じで、労力やコストの掛からない抽象的表現等で、事情が変わってしまう。

また、大手では、ツマラナイものでも、売れる可能性が少しでもあれば、
専属のライターが脚色したり、9割ストーリーを変えてしまうこともある。
それでも、作者に収入が入るようになってるのだ。

まあ、都合の良い展開ばかりじゃないと思う。
だが、この感動のみを伝えるという作業は、ヤンヤンにしかできない。
小説の全容を把握しているのは、ヤンヤンだけだからだ。

もし、努力が実らなかった時は、もう一度、助けを求めればいい。
その時は、また何か良い方法を考えてやる。
作品名:小説家ヤンヤンの師匠 作家名:西中