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ワタリドリ
ワタリドリ
novelistID. 54908
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それでも太陽は赤く染まる!第10回「癒しの空間!」

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第10回 「癒しの空間!」

部屋に入るとひとしはすぐに朝から引きっぱなしの自分の布団の中にもぐりこんだ。静かにふてくされるように布団から顔を出すと目前と後ろにある水槽のモーター音が部屋中に響き反射してひとしの耳にこだましている。水の中では紅白がらの尾の長いコメットたちがご飯を欲し気な顔でひとしのまわりにひれをひらひらさせながら集まってきた。それとも慰めてくれているのか・・・。

その様子をうかがいながらひとしはまたため息を漏らすように、「今日はそろばんはいけないな」と、何となく会いにくくなってしまった今日のさやかの笑顔を思い出す。そして相手の男子生徒の屈託のない笑顔まで思い出すとますます憂鬱になりぼすっとまくらに顔を深くうずめる。それ以上考えないように・・・。何気にチラ見するように部屋のすみのかけ時計の針に目をやると、すでに12時を回っているのがわかり、無意識にひとしの腹時計がグウーッとなった。

耳を澄ますと台所の方で昼ドラのBGMと硬いせんべいをイライラしたようにばりばりかじる音がが聞こえてきて12時を知らせる合図のアラームもポーンとかすかに響いてきた。服部家の全ての部屋にある時計は出かける時誰もが遅刻しないようにと、わざと4、5分くらい進めてあるのだ。

ひとしは「はあああ~~~っ。(-_-)」と今日一番のため息をひじ置きにしているまくらの上にもらした。