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神話

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前書き
おすすめのBGMはクロノクロスのFrozen Time
本文
1億6千万年前、人類がまだ居ない時代だが、人類に似た生物が世界に存在した。
彼らは上空1000mにサッカーコート1枚分程度広さの敷地に住んでいる。現代人でいうところの神

様の住む天界と認識される存在でもあるだろうか。

天界には10人程の神様が住んでいた。
その内の二人の神は神達が下界に行かない様に見張りをする役目を担っていて、残りの8人の神達は自

由時間を過ごしている。
自由時間といっても、特に何かをする訳ではないし、何かをしなければならない訳ではない。
神は衣食住の必要ない体質であり、不老である。しかし生物物特有の「死の概念だけ」はあった。
剣で貫かれれば殺されるし、死ねばあの世に行く。あの世は別名「幽界」と呼ばれる場所で、天界の更

に上空1000mにある。
幽界は地球の外周を覆う様に存在していて、死者の魂はその外周に集まる様に仕組まれている。
神たちは下界には自由には降りられないものの、幽界に行く事や宇宙に飛び出して彷徨う事は原則的に

自由だった。

銀河の各惑星にはそれぞれ10人程の神が存在してる。神は神自身、なぜ存在してるのか理由を知らな

い。

神は好奇心があった。
神たちはただ一点の下界が気になる場所だった。
幽界、宇宙には飛び出せるものの、惑星の地上には降り立てない。天界から千里眼で見つめる事しかで

きないのだ。
下界に神が行かない様に取り締る者達が居るので「下界は行ってはならぬ場所」という認識はあった。
取り締まる者も「なぜ下界は行ってはならぬ場所」なのかは知らなかった。

ある日、取り締まる者たちは、本来の役目を逸脱して、こっそりと下界に降りた。「直ぐに天界に戻っ

てくれば良い」と考えたのだが、彼らが戻ってくる事は無かった。
下界に降りる者を取り締まる者達が居なくなった天界であるが、それでパニックになることもなく。
多くの神が「今がチャンス!」と言わんばかりに、下界に降りていった。

神すらも知らない事であるが、下界に降りた瞬間、神の肉体は消失し魂は動物の魂へと入り込んでしま

う、
虫、犬、猫、人間、あらゆる哺乳類。ランダムに胎児の中に入り込み、其々の人生と死を経験した後、

天界へとまた戻ってくる。
動物となったとき、これまでの記憶は全てリセットされ、天界へと戻るとき思い出す。

それは神が動物達の心情を学ぶ為にとプログラムされてたものかもしれないが、神々がその経験を元に

して何かを成すべきなのが、特別決められた証拠は無い。
「神」という生物の行動原理は、自分たちの経験則を元に生きてる事を実感し、教訓や信念を作り出し

て生きる。

たとえば人間へと生まれ、親に愛された経験が無く、親に愛されたいと願えば、天界に戻ったあと再度

下界に降りる際に親に愛される可能性の高い者へと転生したくなり、そうなる可能性が増す。

神は魔法を使ったりはできない。天界から間接的に地上の生きる者たちを幸福にしたり、不幸にしたり

ができない。
ただ生き物に転生し生き物の思想を観測するくらいしかできない。

神々は多様な生物を観測するに従って慈悲深い生き物となっていく。また動物になって慈悲深い生き物

として振る舞う事により、子孫たちにその影響を与えていく。
影響は主に子孫達に殺生否定思想が植えつけられる事。神々が輪廻の遊びをはじめてから4000万年

後には、地上には草食動物「主に恐竜」の支配構造が出来上がった。

問題は地球上の植物が無くなっていった事である。それは早期の段階で神々は気付いていたが、しばら

く神たちにはどうにもできなかった。
だが農耕による植物の栽培に気付いたある神が、それに着手する事になる。
地上を殺戮のない平和な世の中にする事を目的とした思想には全ての神が賛同した。この瞬間から農耕

に適した体を持つ猿が人間の方向へと進化し始めた。

しかし、人、神々がどれだけ努力しようとも恐竜たちの食料は無くなっていく、恐竜はいずれ絶滅する

という事だった。

そんなある日、神の中に一人、野蛮な考えを持つ者が発生した。
「いずれ絶滅すると判っているなら最初から絶滅させよう」
彼の思想は要するに「餌の無い環境で生きながらえて、家族を失う苦痛を体験する羽目になるのなら、

いっそ丸ごと殺してしまおう。一瞬で殺してしまえば楽だろう」というものであった。

彼にとっては一種の正義であったが、しかしそれは机上空論であり、たとえば隕石を落として動物を絶

滅させる等、能力的には不可能であった。
ただ何れにせよ、彼は他の神々の善の思想に同調する事はなくなって、非協力的になっていった。

彼は下界に降りるのを辞めて、宇宙へと飛び出し、多様な惑星の神々とコミニュケーションを図ってい

た。
「問題を解決するにはどうすれば良いのか」

問題解決の為には神々は他の惑星の神とコミニュケーションを図ればいい。
人類が農耕する事で解決しようとする結論もそうして得られたものだったが、今回の問題は難題である

のか、解決に到れる神は居なかった。

宇宙の果てまで長い旅をした彼は、宇宙の壁に達した。壁は黒い幕に覆われていて、擦りぬける事が可

能だった。しかし、すり抜けた場所は眩しくて何も見えない。
真っ白な空間をしばらく前進した彼は、天界にそっくりな場所を見つけた。
誰も存在はしてないがリンゴの木が一つあり、2人の男女が木に縛り付けられていた。
二人の名前をアダムとイブという。

アダムに話を聞く。神に逆らって遊びほうけていたアダムが罰として縛り付けれている。とのこと。
縄を解いてリンゴを食べてしまったら更なる罰が待っていて、アダムは神々に決まりが守れるかどうか

を試されていて、イブはアダムを監視する役目を担っている。またアダムへの罰が妥当かどうか判断するべく、イブ自身が同じ罰を体験してる。とのこと。

イブとアダムは下界の存在を知らなかった。
光の世界の果てには暗闇に覆われた宇宙が存在していて、自分たちと似たような神々が存在しているなんて思いもよらなかった。
イブとアダムには彼の様に果てしない宇宙の距離を進める力が無かった。不労ではあるが不死ではない。普通の人間程度の能力しかない。
上空には「幽界」の様なものはあるもの、アダムもイブも観測した事もない。「ただ、幽界の存在をなぜか知ってる」という認識した精神状態にあって、神の管理下にあると思い込んでる状態にある。

イブとアダムは誰に縄で縛られたのか判らない。イブとアダムは自分たちを監督する神に縛られたと主

張するけれど、彼の視点ではその神は観測できなかった。イブとアダムの主張する幽界自体の観測もできなかった。


彼は何となくリンゴを手に取ろうとした。
イブに「食べるつもりなのか?」と問われた。
イブは”アダムに食べさせてはいけない”というルールを守っているだけなので、引き止めはしなかった。

アダムは其れを見て「俺もリンゴが食べたい」と言い出した。
空腹を感じたりはしないけど、「禁断の実だから食べてはイケナイ」と言われて、どうしても味が気に
作品名:神話 作家名:西中