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てっしゅう
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新連載!「歴女先生教えて~パート2」 第一話

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加藤拓真と結婚して妊娠した旧姓川野美穂、現在の加藤美穂は工業高校を退職して、出産の準備のため富山の実家に帰っていた。
拓真の父親は家業の後を継ぐためには他人の飯を食った方が良いと考えて、取引先のディーラーに頼み込んで富山の営業所へ息子を就職させた。

それは二人が離れて暮らしてはいけないとの思いと、子育てをするには美穂の実家の方が適任であるとの判断でもあった。
美穂は出産後に実家で拓真が暮らしていることの申し訳無さから、歩ける距離にアパートを借りて暮らそうと持ち掛けた。

「拓真、ごめんね同居させて。この子も落ち着いてきたから家を出てアパートで暮らしましょう。私も実家に子供を預けて働くから何とかやって行けるわよね?」

「無理しなくていいよ。ボクは美穂が考えるほど神経使ってないから今のままでも構わないよ」

「ううん、それはいけない。お義父様に叱られるわ。大丈夫よ、働くところはまた学校だから。今度は看護学校だから女子高みたいな感じだけど、部活とか受け持たないから子育てはなんとか母の手を借りて頑張れるわ。ねえ~いいでしょう?」

「うん、美穂が決めているなら反対はしないよ」

結婚してますます優しくなった拓真に美穂は心から感謝をしている。
拓真の成人式が済んだその年の春から、美穂は新しく地元の看護学校に社会の講師として採用され赴任した。

学校は歴史の選択を世界史にしていた。美穂は少し学習をして授業に臨まなければいけなかった。始業式までの期間夜遅くまで本を読み生徒に教えるべき知識を吸収し、自分なりに日本史と並べて話せるように対比表を作って何度も何度も読み返していた。

桜が咲く四月の第二週目の月曜日から授業はスタートした。

「おはようございます。これから世界史の授業を受け持つ加藤美穂と言います。新任ですので名前を憶えてくださいね。生まれは地元ですが、名古屋市内の工業高校で社会の授業を受け持っていました。昨年、出産で地元に戻ってきました。皆さんは看護師や介護士になる人が多いと思うけど、世界史も楽しい授業にしますから興味を持ってください。何か質問があればどうぞ」

何人かが左右を見ながら譲り合うように挙手を促す仕草が見られて、ひとりの女生徒が手を挙げた。

「では、名前は・・・望月さんでしたね、どうぞ」

「望月です。先生は子供さんがおられるのですね?初めての子供ですか?」

「ええ、そうよ。男の子なの」

「私の姉が去年子供を産んで少し実家に帰っていましたので、初めて赤ちゃんを見て一緒にお手伝いしましたが、姉は大変な思いをしていたようです。先生は大丈夫なのですか?」

「ありがとう、気を遣ってくれて。初めての子育てだけど、母が居るから安心なの。あなたのお姉さんもきっとそうだったでしょう?」