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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 後編

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顕現



夕食を終えても、潤子が戻ってこない。十時を回ったころ、客間に集まる一同に志帆が不安そうに告げる。

「潤子さん電話にも出なくて…。病院に行く祖母の付き添いだから、もう戻っていいと思うんですけど。祖母宅に泊まるのなら、必ず連絡があるはずです」

なぜだろう。瑞はにわかに不安になる。一連の事件に関与している潤子が、このタイミングで帰ってこないのは偶然なのか?
しかし間もなく、事態は大きく動いた。車の音がしたかと思うと、客間に着物を着た老女が現れたのだ。

「…須美子さん!」
「誰ですか?」
「…大叔母です」

志帆が驚いて立ち上がった。申し訳なさそうな潤子を伴った須美子は、ぎろりと瑞らも一瞥した。

「志帆。おまえは何を考えているの?」

きついまなじりを釣り上げ、老女は志帆を叱責した。厳しい声色だった。身内に向けるとは思えないような。ふくよかな体躯に、綺麗に結い上げた髪。しかし美しさや上品さとはかけ離れた印象を受ける。それは表情の恐ろしさのためだろう。

「このような身内の恥を外部の方に漏らすなど…勝手なことを!」

志帆の挙動が怪しかったことを潤子に問いただしたのだろう。昨日、聞きこにみいって叱責されたと、志帆はもらしていたから、感づかれたのかもしれない。潤子はおろおろと志帆と須美子とか言う老女を見比べている。

「でも大叔母様!このままでは兄が死ぬのですよ?!」
「だからといってはしたないことを!よそ様にそんなことを話し原因を解明してもらおうなどと!探偵ごっこもいい加減になさい!」

恐ろしい迫力だった。だけど志帆も負けてない。

「ごっこじゃない!わたしは真剣です!」

その志帆の激昂に、大叔母は一瞬ひるんだ。