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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 「SOSの子守唄」

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第1話 ミッション



目が覚めると、いつも耳鳴りがする。

体が冷えているわけではないのに、暫くは足を思い通りに動かせない。
喉が渇くのは、眠りに就く前の飲食を、一切制限されているから。
誰に急かされるというわけではないので、もう一度ゆっくりと目を瞑り、起き上がる気力が湧くまでは、ゆっくり時間を過ごそう。

船は予定通り航行しているようね。アラームは一切聞こえない。
1年ぶりの人工睡眠から解放されて、また1週間のメンテナンス作業に就き、再び1年眠る。

起き上がって一番にすることは、飢えた体へのエネルギー補給と、鈍った体を回復させる軽い運動。この手順も、もう100回以上繰り返してきた。
つまり、太陽系を飛び出してから、既に100年以上こうしているわけ。たった一人で。
光速を超えることが出来ない以上、人間は人工睡眠を利用して、外宇宙への旅を続けるしかなかった。
一度旅立つと、二度と故郷には戻れない。

私がこのミッションに選ばれた理由は、感情がない女だから。
生まれた時から、まったくの感情を持っていなかった。
私自身、大勢でいるより、一人でいる方が性に合っていると思う。
でも、有り余る時間を有意義に過ごしたいとは思うけど、船のデータベースの情報はすべて見てしまって、新しい情報と言えば、私が眠っている間に受信した太陽系からの指令と、目覚めるまでの1年間に収集された星域の星図のみ。
太陽系には、私に無意味なジョークを投げかけてくれる知人は、もう生きていないだろうな。
出発当時は星間メールと呼んでいた通信手段も、今はもう古く、データ通信量に限界がある。予備の資材で3Dコピーして、船のハード面を改造してきたけど、これ以上は無理なようだわ。船の脳幹システムのアップグレードにも限界が来てしまった。

最近は、と言っても46年前からだけど、退屈と言う感情を理解するようになった。さらに22年前には、寂しさを感じることも出来るようになった。
人類は希望を持って物事に取り組むことが出来るが、私にはまだ『希望』というものが理解できない。ただ、この先80年後に到達する星系で、人類以外の知的生命体の存在を確認するという目的しか理解していない。