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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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あなたが残した愛の音。

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4 バスケ部



「次長ぅ。どうして『パパ』って呼ばれてるんですかぁ?」
部下の女性は、ローストビーフを頬張りながら聞いた。
「ほらほら、食べながら喋るとみっともないぞ。だから主任は、彼氏できないんじゃないか?」
「あー。それ、セクハラですよ。」
「そう取るか? じゃ、食事に誘った時点でアウトだと思うけどな。」
「おごって貰えるならいいんです。(笑)」
「だから彼氏できないんじゃ・・・、まあそれはいいか。」
「あはははは。」
「で、パパってのは、いろいろ有ってね。」
「お気に入りの女の人なのは、よーく分かりますけど。変に疑っちゃいますよ。」
「ははは。うちの娘とすごく仲がいいんで、以前から娘とよく遊んでくれてるんだけど、娘が呼ぶのを真似て『パパ』って呼んでるだけだよ。」
「娘さん、小学生でしたよね。」
「うん。家族ぐるみでのお付き合いなんでね。」
「娘さんも、ピアノ習ってるんですか?」
「うん。今は時々、遊び程度に。」
博之は、ウェイトレスとしてきびきびと働く愛音を、遠目に見ながら話したが、部下の女性は、その向こうの童顔のウェイターを見て、聞いていたかもしれない。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ショパンのピアノ曲が流れるカフェで、博之の前に座る初対面の愛音の表情が、少し柔らかくなってきていた。
切ないショパンの調べは、人の心を落ち着かせる。母の昔話を聞いて、愛音は少しリラックスできた。
コーヒーが二つ、テーブルに運ばれてきた。
ウェイトレスがテーブルに置く間、二人は暫く無言になったので、
「お砂糖はいりますか?」
と博之が聞いた。
「はい。」
「僕はブラックがいいので。」
と言いながら、シュガーポットを愛音の方に差し出した。
「甘いものがお好きなら、ケーキ食べますか? アップルパイがおいしいですよ。」

博之は、彼女の印象から、自分が心配していたようなトラブルを持ち込まれたのではなく、母親のために何かできることを模索して、一所懸命になっているんだと感じていた。それで、協力できることがあるのならと、彼女との間に、いい関係作りをはじめた。

「ケーキは結構です。さっきお昼食べてきたばかりですので。」
「そうですか。結構ストイックな性格ですね。」
「ええ? そんなこと無いです。」
愛音は少し真顔になった。
「あ。その表情、宏美先生にそっくりです。なんというか、負けず嫌いな感じが。」
「ふふふ、母をよくご存知なんですね。」