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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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あなたが残した愛の音。

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 博之は学校でひとみ先生を見ると、必ず手を振った。先生も手を上げて応えてくれる。中学生の淡い恋心を具現化する、満足に足る日々だった。

 昼休みになると、音楽室からピアノの音が聞こえて来ることがよくあったが、その音が、ひとみ先生が練習している音だと知ったのは、音楽室に入って練習を見学したと言う男子生徒の話からだった。博之はそれを聞いた時、その生徒に対し、“ヤキモチ”を感じた。それからは、ピアノの音が聞こえると、必ず博之も音楽室に行くようになったが、そこにはいつも、ひとみ先生のピアノを、席に着いて聞いている生徒が数人いた。彼らは、時々先生とも会話して、楽しそうにしていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「僕は幼稚園の時から、音楽教室に通っていて、オルガンなどを習っていたんですけど、小学3年でピアノに変わる頃、その教室をやめたんです。それで、ひとみ先生に、自分にピアノを教えてほしいと頼んだら、先生は喜んで教えてくれて、時々、昼休みの音楽室で、一緒に練習させてもらったりして、いい思い出です。」
「私も母の影響で、ピアノ講師のアルバイトをしています。」
「やっぱりそうですか。姿勢で判りました。音楽好きな家族なんですね。」
「私の名前も、“愛の音”と書くんです。」
「それで“あいの”と読むのか。先生らしい名付け方だなぁ。」
「母はよく、『ピアノが好きな生徒がいた。』って言っていましたけど。」
「僕のことだったら、嬉しいですね。」


・・・・・・・・・・
 他の生徒はまったく音楽の基礎ができていなかったので、博之の思惑通りピアノの練習には参加できず、やがて音楽室には来なくなった。それからは、博之とひとみ先生は二人だけで、ピアノを弾くという日が増えた。練習では必要に応じて、先生の手が博之の手に重ねられることがあって、ハートが震えるほど、切ない恋心を刺激された。

 そんなある日、ひとみ先生は、鍵盤を軽く叩きながら、意外な話をした。
「木田君、すごくモテるのね。」
「そんなことないですよ。」
「昨日ね。ある女子生徒から、『木田君に、ちょっかい出さないで下さい!』って言われたわよ。」
「誰がそんなこと言ったんですか?」
博之は、自分の恋路を邪魔されたことに、腹が立った。
「誰かは教えないけど、私が何したって言うのって思って、少し腹が立ったわ。」
「そんなヤツのこと気にしないで下さい。」
「気にするようなことじゃないから、別にいいんだけど、木田君は彼女作らないの?」
「今は先生が好きですから。」
「あはははは。もう、みんなマセてるわね。」