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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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あなたが残した愛の音。

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2 先生の娘



駅舎から乗客たちが出てきた。皆、足早に歩き去り、また、迎えに来ている他の車に乗り込んで行った。それらしい女性は出て来ない。
『担がれたんじゃないだろうな。』
博之は人の流れが途絶えたのを確認して、車を降りた。そして駅の入口付近まで歩いて行き、周囲にそれらしい女性がいないか探したが、そもそも背格好も何も知らないので、見付けようがない。

先ほどの電話で聞いた、彼女の携帯電話にかけてみた。3回コールして彼女が出た。
「はい、川嶋です。すみません。もうお待ちいただいてるんですよね。」
「ええ。出てくる乗客の中に、あなたらしい人を見付けられなくて。」
「今、改札を出るところです。」
「じゃロータリー側の出口に立っていますので。」
博之は、きっと彼女はトイレに寄って、初対面の相手に対しての身支度をしていたのだろうと思った。

その後すぐに、改札のある2階から階段を下りてくる女性と目が合った。彼女は困惑したような表情をしていたので、それが、電話の女性だとすぐに分かった。

「木田さんですか?」
「はい、木田博之です。初めまして。」
「こちらこそ。お呼び立てして申し訳ありません。川嶋宏美の娘で、愛音(あいの)と言います。」
「意外に背が高いんですね。先生は小柄な方だったので、予想外でした。」
「よく言われるんですが、父の背が高かったもので・・・。」
「ここじゃ、なんですので、どこかお店に入りましょう。と言ってもこんな郊外の駅前には、うどん屋ぐらいしかないので、私の車で移動しますね。」
「はい、お願いします。」

博之は1,000万近くするメルセデスに乗っている。この車に女性を乗せると、お愛想でも「素敵ですね。」とか「こんなの光栄です。」とか言われることが多いのだが、彼女は気付いていないのか、何も言わずに、博之が開けたドアから助手席に乗り込んだ。それにより、これから本当に深刻な話になるんだろうと予想できた。

駅を出て、信号を6基通過するとお城がある。その周囲のお堀に面して、1軒だけ『CHOPIN(ショパン)』という気取ったカフェがあった。博之は、その店のガレージの黄色く色付いた大きな欅の木の下に、車を停めた。