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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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映画 戦国生徒会

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(このままでいいのか? 謝った方がいいに決まってる)
博之は悩んだ、もともと彼女に押される形で付き合い始めたものの、付き合いだすといつの間にか、彼女のことが一番好きになっていたのは間違いない。しかし最近、自分の時間が出来ると、その時間を彼女に占領されることに、嫌気が差し始めていたのも事実だ。
(アイツから別れようって言い出したんだ。本気じゃなかっただろう)
(あの状況じゃ、喧嘩も出来なかったじゃないか。本当に、別れちゃったのか?)
(きっと後悔してるはず。向こうから謝ってくるに違いない)
(だから、このままでいいんだ。せめて、映画を撮り終えるまでは、このままで・・・)
 こんなことを考えながら、美術の授業を受けていたので、この日の課題だった人物のクロッキーは以外にも、荒々しいタッチで非常によく描けているとの評価だった。

 放課後の撮影では、すでに津田がスタッフに一部始終を報告していて、恵美莉でさえも博之の近寄り難い雰囲気に戸惑った。
 撮影のため、椋ノ木が博之の顔にやつれた表情のメイクを施したが、この日の博之は、メイクなど必要ないくらいに暗い顔をしている。
 撮影の合間に、千鶴がその暗い空気を何とかしようと思い、恵美莉や中川に目配せした後、離れた階段で一人座っている博之に近付いて行って話かけた。撮影スタッフたちは、それを見て見ぬふりで、千鶴に任せるのだった。

「泣かしてた」
「!・・・・・・」
意外な一言に博之は困惑した。
「ダメじゃない。彼女泣かしたら」
千鶴はニヤつきながら話した。
「勝手に泣き出したんだよ」
「そんなはずないでしょ。原因はキッド君にある」
「・・・・・・」
博之は初めて千鶴に『キッド』と呼ばれた。
「きっと、きっと。キッド君に。うふふふ」
「そうかも知れないけど・・・」
「早く仲直りすればいいのに」
「そうはいかないよ。俺は振られた方なの」
「え? 振られた?・・・・・・あれで別れちゃったってこと?」
「そうなの。別れようって言われたんだから」
「もう、本当に別れちゃったの?」
「そう言われたんだから、そういうことだろ」
「えっ、ごめんなさい。喧嘩だけかと思って」
「これでも落ち込んでるんだから、慰めてくれるならともかく、変なこと言わないでくれよ」
「本当にごめんなさい。じゃ、慰めてあげようか?」
「本気で言ってる?」
「えっと。どうしたらいいかな」
「なら、俺と付き合ってよ」
「・・・!」

作品名:映画 戦国生徒会 作家名:亨利(ヘンリー)