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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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映画 戦国生徒会

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 7月に入って博之は、体操部の仲間と疎遠にならないかが心配だった。それほど真剣なクラブではなかったので、撮影の合間に顔を出すだけでも良かったのだが、中川に頼んで、クラブの練習にも参加しようと、体育館に行ったある日の床運動の練習中、ロイター板(踏切板)を強く踏み切ったまでは良かったのだが、うっかり、今どんな技を練習しようとしたのか気が抜けてしまい、前方2回宙返りの途中で頭から落下してしまった。

ゴキ!

 首が鳴った。集中力を欠いていたことに後悔を感じたが、時すでに遅し。
 博之は動かない。動けないのではなく、首の音に驚き、動いてはいけないと思ったからだ。
「木田ちゃん!(博之)大丈夫か!」
周囲に部員が集まり、顧問の先生が呼ばれた。博之は落下したままの姿勢で、マットの上に横たわり、足の指を動かしてみた。・・・動いた。手を動かしてみた。・・・大丈夫だ。
 首を手で支えながら、真っ直ぐに伸ばした。首を動かした瞬間、血流で首筋がものすごく熱く感じた。
 一先ず、一生寝たきりという事態は避けられたようだが、そのまま救急車を待った。救急隊が駆け付けて、博之は首を固定するため、スパインボードに縛り付けられて、病院送りになった。

 総合病院のロビーでは、クラブのメンバーとクマ先生、映画スタッフら15名ほどが待っていた。処置室から、体操部の顧問が押す車椅子に乗せられて、博之が出てきた。
「大丈夫だったか?」
クマ先生が聞いた。
「ああ、ムチウチじゃ」
顧問が答えた。
 それを聞いて全員が、ゆっくりと笑い出し、やがて腹を抱えて笑った。というのも、車椅子に座る博之の首には、大きな白いコルセットが取り付けられ、真直ぐ前を向いたまま、目をキョロキョロさせて、みんなの顔を見ているからだった。
 博之は香織を探していたが、そこにはいない。千鶴と目が合い、恥ずかしさで顔が真っ赤になって、またみんなに笑われた。

作品名:映画 戦国生徒会 作家名:亨利(ヘンリー)