小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

道化師 Part 2

INDEX|1ページ/10ページ|

次のページ
 

6


もしかしたら、学校に来ているかもしれないと、行きたくないと思った学校に急いだ。しかし、教室を見渡したがミユキの姿はなかった。まるで授業が頭に入ってこない、教室の空席が気になって授業が終わると教室を飛び出していた。
龍也の教室を通り過ぎようとした時
「ヒロ、こっち」
龍也に呼び止められ廊下の隅に移動した。
「どうした?俺、急ぎだ」
「解ってるよ、兄さんから伝言。木島さんがバイト来なくていいって、話があるから家で待っていろって」
「何で木島さんからじゃなく、サクヤさんからなんだ」
「解んないけど、木島さん連絡取れなくなるからって」
「連絡取れなくなるってどういうことだよ」
「解んないよ、俺は一海を俺んちに連れて帰るように言われたから、今から迎えに行くとこ」
「解った、また連絡入ったらラインしてくれ」
「了解、兄貴達なんかヤバい事してないよな?」
言葉に詰まってしまう。
「悪い、帰る」
龍也には何も言えなかった。
話しておけば良かったのか、その時はただ巻き込みたくない、ただそれしか頭になかった。

淡い期待を込めミユキの部屋のチャイムを鳴らすが、物音一つしない。やっぱりいない。何処に行ったんだ?どこに連れていかれたんだ?俺はミユキの事を何も知らない・・・・。

バイトに行けばよかった。部屋の中をウロウロと落ち着くことができないまま、木島たちが来るのを苛々としながら待った。日付が変わる頃にやっと来たのは、鷺沼さんとサクヤさん、そして、鋭い視線のモデルのような男だった。木島が来るものと思っていたからびっくりした。
鷺沼さんは戸惑う俺の肩を抱きリビングに向かう。
「ヒロ君、あの子は学校に来ていた?」
「来てない」
俯きイラつくまま吐き捨てる。
「やっぱり、あの男の家なのか?あの男は何者なんだ?美幸は何処に行ったんだ?」
矢継ぎ早に鷺沼に詰め寄る俺をサクヤさんは落ち着いてと宥める。
「あの男は、かなり大きな会社の取締役。家も代々続く旧家の出で、きっと彼の家に連れて行かれたと思うよ」
サクヤさんが会社名を敢えて伏せた状態で説明してくれた。
「サクヤ、この少年には手を引かせろ。あの男は危険だ」
モデル男が横から口出ししてくるから
「何なんだよ、手を引かせろだと、お前は何を知っているというんだ。偉そうにしやがって、何者だ!!」
「中々に威勢がいいな。俺は青龍会会長の射水龍成だ。こんな素人の若造に名乗ったのは初めてかもな」
夜のバイトをしてると自然と耳に入ってくる。関東ではトップクラスの裏稼業、四神の名を持つヤクザ、朱雀、青龍、白虎、玄武。何故そんな大物がここにいる?でも、今の俺には、だから、なんだよって感じだ。
「俺は引かない。俺は餓鬼さって自分でも解ってる、だからって指をくわえて黙っていろと、忘れろというのか?それが出来ないから手を貸して欲しいって言ってるんじゃないか!」
悔しくて涙が滲む。
「龍成、大人気ない。ヒロ君も落ち着いて。龍成のいう事も間違ってないのはわかるよね。ホントに危ない相手なんだよ。ヒロ君の気持ちも解るから、状況は教えるけど勝手な行動はしないと約束して欲しい」
サクヤさんの言うことは頭では理解できてる。でも、何も出来ない気持ちが悲鳴をあげてる。
「お前、いいなぁ、俺の所に来るか?」
と、俺を誘う妖艶な仕草に息を飲む。
「龍成!何を馬鹿な事言ってるんだ!絶対に許さないからな」
サクヤさんが射水のネクタイを掴み締め上げ
「本気なら俺は、龍成お前を…」
最後の言葉は聞こえなかったが、射水はサクヤさんの頬に手をやり
「本気じゃないさ。俺はお前が手に入るなら何でもするが、嫌がる事はしない。もし、お前が嫌がる事を俺がしたら、捨てる前に殺せ」
軽いキスを繰り返す二人に鷺沼さんが吠える。
「お前らいい加減にしろ!ヒロ君が固まってるだろうが。いちゃつきたいなら帰れ」
「ふん、煩い奴だな。少しぐらいいいだろうが」
と、口端を少し上げ笑う。
サクヤさんは、俺にごめんねと優しく微笑むが、さっきの余韻なのかクラっとくる妖艶さに顔に血が集まり、さっきまでの怒りでなく顔が赤くなるのを咄嗟に俯き顔を隠した。
俺は、この空気を変えたくて
「あ、エッと、木島さんは?」
「ん、亮はプロと張込み。心配いらないよ」
「プロって、探偵とか?」
「違うよ。国家公務員のほうね」
「えっ、嘘。警察の人まで巻き込んだのか?」
「いいのいいの、タモツの彼氏だから、気にしなくていい」
鷺沼さんは軽く言ってのける。
「茂に張り込ませてるのか?俺の若いの行かせるか?」
「非番なんだからいいよ」
鷺沼さんと射水のやり取りも亮がいないとなんだか疎外感を感じ落ち着かないでいた俺は、何も乗ってないテーブルに気づき
「ごめん、珈琲でも入れる」
慌てて腰を上げた。
キッチンで珈琲の香りに包まれ、ぼんやりしてる俺に
「おい!ビールはないのか?」
射水の落ち着いた大人の声に苛立ちつい悪態をついてしまう。
「おいってなんだよ。俺はお前の嫁じゃない」
「嫁って、俺の嫁は決まってるから他を探せ」
「こっちもお断りだ」
言い合いをしている射水の携帯が鳴った。
俺に見せていた表情が一変する。これが裏稼業のトップに立つ男の本来の姿なのだろう。青い炎が揺らめいている様な凄いオーラ、全身をゾワッと鳥肌がたった。
話しを終えた射水が
「来週、ある政治家のパーティが開かれる。それに二人で招待されてるみたいだ。表向きはチャリティらしいが、裏では、売春、人身売買、薬も飛び交うらしい。どうする?」
「何か確かな証拠は?」
「ない、あくまで噂止まりだ」
「もっと探らせるか?」
「そうだな、そのパーティに参加できないか?」
射水は、ニヤリと不敵に笑うと
「表も裏もいける」
それを聞いたサクヤさんは、僕の知らない妖艶な冷たい笑みを浮かべた。
「亮と俺は表だけだな」
鷺沼さんは、残念そうな表情で
「茂はどうする?」
「そうだな、裏取引で始末するか、表に出して再起不能にするかだな、サクヤ、どっちだ」
「俺的には表だが、それでは息の根までは無理だろう、となると裏かな」
不敵な笑みを浮かべ、かなり物騒な話に俺は、珈琲を乗せたトレーを落としかけ慌ててカウンターにトレーを置いた。
「おい、お前らいい加減にしろよ。ヒロ君を怯えさせて何、面白がってんだ」
えっ、今の話、嘘なのか?
二人のニヤけた表情で、俺は真っ赤になって叫んでいた。
「ふざけるな、立派な大人が馬鹿野郎」
少し涙目になってる俺を豪快に笑う射水。笑うなと殴りかかろうとして軽く交わされる俺。じゃれ合ってる俺の見ていないところで、鷺沼さんとサクヤさんが目配せしていたなど、少しも気づいてなかった。
二人が帰った後、ホットチョコをテーブルに置いた鷺沼は、
「ヒロ君、遅くなってしまったね。これ飲んだら休みなさい。そして、明日も学校に行く」
わかった?と俺の髪をクシャリとする。
「解ってる。サクヤさんは、あの男が好きなのか?怖くないのだろうか?」
ずっと俯いていた顔を上げ、頭に浮かんだ不安を投げかける。
作品名:道化師 Part 2 作家名:友紀