小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ここに来た(全集) 21カ所目追加

INDEX|4ページ/21ページ|

次のページ前のページ
 

4 キーウエスト島(アメリカ フロリダ州)



アメリカ最南端の島に、サメの歯の化石のペンダントを買いに来た。

マイアミから揺れるプロペラ機で2時間ほど、眼下の青い海を見て、気分が高まる。
白い波が立つ岩はサンゴ礁だろうか、島々の周囲に見えるマングローブの木々の間に、人影が見えた。

島の空港からホテルまでは、白タクしかない。
陽気な運転手が、後部座席を振り返り、早口でやたら「Crazy!(いかれてる)」を連発しながら、町の紹介をしてくれた。

大きなビルはほとんど無く、ヤシの木がそこかしこに生えている古い町並みは、麻薬組織が暗躍する映画の町のようだ。
人々は皆陽気で親切だ。
舗装された道路は、ところどころ穴が開いていて砂埃で汚れている。

タクシードライバーが世界一と言った、港の夕焼けを見に行くことにした。
ホテルから歩いて、15分ほどの港には、すでに大勢の見物客。

サンセットには早すぎたが、透き通った水に色とりどりの熱帯魚を眺めるだけで、時間を忘れてしまう。
海面を飛ぶ青い鳥は、白いカモメに海の色が写ってそう見える。

私は友人と軽食を取りながら、真っ赤な太陽が沈むのを待った。
昼間の騒々しさはどこへやら、岸壁にとまる大きなペリカンと日没までのひと時をすごした。

太陽が水平線に着いたその瞬間、時間が止まったかのような至福のひと時・・・かと思えば、拍手喝采が沸き起こり、見る見るうちに海の中に吸い込まれていく太陽に気持ちが急いて、落ち着きは消え去った。