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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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秘湯:勉強の湯で成績UP!

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「うーーん、君ねぇ偏差値低いでしょう。
 このままじゃこの先やっていけないよ」

「……はぁ」

「いや、たぶんわかっていないだろうけど
 これかなりやばいことだからね。
 君が思っている何倍も危機感を持った方がいい」

三者面談を終えると、親からも頭を良くしろと
まるで洗脳のように聴かされた。

とはいえ、俺は頭が悪い。

スポーツでオリンピック選手が生まれるように
勉強でもめっちゃ頭がいい人もいるし、逆もいる。

でも、みんな勉強だけは努力でどうとでもなると思ってる。
根性論ばんざいだ。

「もっともっと勉強しなくちゃだめよ!
 せめて大学に入らないとあなたの今後が大変なの!
 明日のテストで良い点取れなかったら許さないからね!」

親にせかされて勉強机に座ったものの、
まるで穴の開いた袋に水でも詰めるような感じ。

必死に覚えた用語も時間経過とともに
ぼろぼろとどこかに消えて行ってしまう。

「ああ……こりゃダメだなぁ」

このままじゃ、たぶんめっちゃ怒られる。
頭の悪い俺でもそれくらいはわかった。

そこで勉強なんか投げ出してネットサーフィン。
効率的な勉強方法はないものかと探していると……。


【快勉の湯】

とある温泉がヒットした。
俺はさっそく行ってみることに。


「へぇ、学生さんですか。いやいや、珍しくはないですよ。
 手っ取り早く頭を良くしたいっていう学生さんが多いんでね」

「あの、それでネットに書いてあった情報は本当なんですか?
 温泉に入れば一気に頭がよくなるって」

「ええ、もちろん本当ですよ。
 ネットじゃウソも多いですがこればかりは本当です」

その言葉にすっかり安心する。
はるばる郊外のそれこそ浄水場の近くにある辺境の地まで来たかいがある。

「ここです、ごゆっくりどうぞ」

大きな露天風呂を想像していたけれど、
通されたのはごく普通の家庭用のバスタブだった。

「え……これ?」

テンションが下がりきった状態で風呂のふたを開けると、
さらにテンションが下がった。

「汚っ!! なんだこれ油浮いてるぞ!?」

風呂は何日もお湯を変えていないような状態。
毛や油やアカが浮いていて、とても気持ちよく浸かれそうもない。

我慢できなくなり店主を呼んだ。

「あの! とんでもなく汚いんですけど!!」

「あははは、そりゃそうですよ。一度もお湯変えてないんですもん」

「はぁ!? 嫌がらせですか!?」

「いえいえ、このお湯は特別でね。
 これまでこのお湯で使った人の知識が溶け込んでいるんですよ」

「えっ……!」

まさか、ネットの噂にあった"頭がよくなる"というのは
俺の能力を伸ばすことじゃなくて、
別の人の頭の良さを植え付けることなのか。

「かつてこのお湯には、東大の名誉教授も入ってますし
 NASAの研究者や世界的に有名な開発者も浸かっています」

「本当ですか!?」

「まあ、見た目はひどいもんですがね。
 騙されたと思って一度試してみてくださいよ」

店主がふたたび去ると、風呂に向き直る。
ゆっくりとお湯に足をつけて肩までつかる。

その瞬間、自分の肌に変化が起きた。

「なっ、なんだこれ! 知識が肌から入ってくる!!」

お湯に溶け込んでいた知識が毛穴や蒸気を通して
俺の体にすいすいと入ってくる。

今まで考え付かなかった発想や、複雑な思考も頭に飛び込んでくる。

「うおおお!! これはすごい!
 こんなに楽に頭がよくなるなんて!!」

もう俺が赤点を取っていたテストなんて簡単すぎる。
きっと子供の絵本でも読むくらい簡単に解けてしまうだろう。
俺は栓を抜きしっかり体を拭いてから風呂を出た。

「いかがでしたか?」

「ええ、おかげで最高に頭がよくなりました。
 今では融資分解理論をフェルマーの最終定理を用いて
 構造科学的な観点から論証ができますよ」

「なるほど、よくわかりませんが賢くなられたのはよくわかります」

温泉を出ると世界が一変した。
同じものを見ているのに、さまざまなパターンの考えが頭に浮かぶ。

これで俺はもう一生勉強という拷問から足を洗うことができる。

「あはははは!! 明日のテストが楽しみだ!
 学校始まって以来のギネス級最高点をたたき出してやるぜ!!」

 ・
 ・
 ・

翌日、テストが終わるとふたたび先生に呼び出された。
その内容は点数があまりに低かったためだった。

「お前、これじゃ偏差値は30だぞ!!」

「だってテストが難しすぎるんですよ……」

先生は俺の言い訳でさらに怒った。

「高校生にもなってライスラー計算の漸化式的証明による
 鶴亀算型の古文解読シーケンスなんて常識中の常識だ!
 ライスラーアルゴリズムから勉強し直して来い!!」


職員室を出たところで、温泉宿から連絡が来た。


『ちょっと! 風呂の栓抜いたのあなたですか!!
 おかげで勉強の湯がぜーーんぶ浄水場に流れちゃいましたよ!!
 これじゃみんな天才になって、商売あがったりですよ!!』


その後、この国がアホほどノーベル賞とかを独占することになる。
でも俺の偏差値だけは相変わらずだった。