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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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聞く子の約束

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第9章 ずるい相談



 キクちゃんが僕のことを、とても大事にしてくれていることはよく分かっていたので、兎に角、彼女のことは何でも受け入れられたし、言われるがまま、そのアドバイスに従った。また、そのニコニコ顔のおかげで、僕は気兼ねもせず、彼女に近づいて行くことができた。
 彼女は体調が悪い日でも、いつもそうと判らないくらいにニコニコしていたけど、僕はそんな時は、なんとなく分かるぐらいにまでになってきていた。

 初めの頃は、彼女の方が僕に気があると思っていたのに、何も変化無く1年も経つと、その自信も揺らぎ始めた。お互いに今のバランスを崩さないような付き合い方に変化し始め、大学3回生になってもキクちゃんとの関係は、職員さんもしくは信頼できるお姉さんと一学生のまま、何も変化は無かった。それはそれでとても良好な関係だった。
 僕は、『もっと親密になりたい。』とも思っていた。しかし、一定の距離感が定着してしまっていて、一線を越えるようなことは絶対に無い。むしろその距離のままがっちりガードされているかのようだった。

 キクちゃんにはもう、僕の交際相手のことはかなり話していたし、浮気相手の顔まで知られている。何を話しても絶体に秘密が漏れないという安心感があり、男同士の会話のように何でも話せたのだ。彼女は僕の交友関係や気になる女子の話が大好物で、いつも嬉しそうに相談に乗ってくれていた。そんな時はケースバイケースのアドバイスをくれた。

 短大時代から付き合っている、専門学校生の知子がいるのに、この年入学してきたクラブの後輩清美から交際を迫られて、内心嬉しくて自慢げにどうするべきか相談したら、キクちゃんは意外にも、
「バレないように両方と付き合ったらいいじゃん。(笑)」
「行動範囲が重ならないなら大丈夫。」
と太鼓判を押す始末。僕はこの言葉をきっかけに暫くの間、二股をかける悪い男になってしまった。でも罪の意識に苛まれ、間もなく知子とは別れることになった。

 ある時は、内心は下心のあった中国語講座で知り合った女子と、大学図書館で授業ノートの貸し借りをして仲よくしているところを、清美に目撃され、相手と険悪な雰囲気になった時、キクちゃんは、
「バカね。そんなトコで二人とも何とかしようと思ってもダメだよ。」
「別に変なこと企んでなかったんですけど。もう中語(ちゃんご)の娘と気まずくなっちゃって。」
「じゃあ、その授業はフェードアウトした方がいいんじゃない?」
で、以降この講座の出席を諦めた。

作品名:聞く子の約束 作家名:亨利(ヘンリー)