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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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聞く子の約束

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第8章 紳士教育



 飲みに行く先はちょっと珍しいところに、連れて行ってもらうことが多かった。大学周辺や最寄駅周辺では関係者の目に付き易く、街の中心街も同様なのでタクシーで少し違う方角へ行った。これはお互いの交際相手にバレにくいという点で、利害が一致していた。僕はまったくなじみのない地域の店を、いろいろと紹介してもらうことができた。

 その間、いつものように楽しく会話をしながら、このお姉さんをエスコートする技をいろいろと教えてもらえた。
 ドアの開け方くらいしか、レディファーストをイメージできていなかった僕は、女性の荷物を持たされて横を歩くことが無作法とは知らなかった。
 荷物を持たされる場合は、女性の一歩後を歩くことがポイントだったことや、店員が席まで案内してくれる店と、自分らで席に向かう店では、僕と彼女の歩く順番に気を付けないといけないと知った。
 これは洋食の店と和食の店でよく違いが現れていた。店の人が椅子を引いてくれる場合は、彼女が先に。僕が椅子を引く必要がある場合は、僕が先に歩かないと、テーブルの前でバタバタしてしまう。
 彼女がコートを脱ぐと受け取ってあげて、ハンガーにかける。ハンガーがない店では、
「コートを、わざと裏返しにたたんで置くのはどうだろう」
という僕の提案は、表面を汚さないための工夫であるが、それにはとても感激して褒めてくれた。
 その他、ウェイターの呼び方も店による違いを習ったし、それらを何度か練習もした。
「それらの法則が、当てはまらないような店には行かない」
とまで言うこだわりぶりだった。

 特に気に入って実践したのは、ショットバーでのエスコートだ。
 キクちゃんは小柄なので、カウンターの椅子には飛び乗るような形になることが多い。後ろから椅子が動かないように手で支えながら、彼女にも手を添えて座らせてあげる。手を離した後に、僕も隣の席に着く際は、
「肩を抱きながらね」
というお姉さんらしいリクエストもあって、この動作は我ながら格好いいと思った。

作品名:聞く子の約束 作家名:亨利(ヘンリー)