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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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聞く子の約束

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プロローグ



『あれ?誰かに似ているな。』
テレビでその女子アナを見て、笑い方の癖をこう感じて気になっていた。でもそれが誰のことか、ずっと思い出せないまま・・・


「木田さん。英語検定は何級ですか?」
仕事中、部下の女が聞いてきた。
 私は大学時代に比較言語学を専攻していたので、英語、スペイン語、中国語、あと趣味でインドネシア語も話せるようになっていた。

「実は、英検を取ってないんだ。」
「どうしてなんですか?」
「大学の時、確か準1級を受験したんだけど、受からなくて再挑戦しなかったんだよ。」

『あれ?なんで再受験しなかったのかな?』
理由は忘れてしまっていた。でも、何らかの経緯があったような気がする。

「大学時代にいつも英検の試験監督のバイトをしていて、受験するより金儲けってか。」
「ははははは。」


 またテレビにあの女子アナが出ていた。その笑いを堪える表情を見て、やっと思い出した。
『そうか!森山さんだ。あぁ懐かしいな。』
それは、大学生活で知り合った学生課の職員さんのこと。すっかり忘れていたけど、彼女には英検の試験監督のバイトを通じて、すごくお世話になったんだった。

 彼女への好意と、年長者への信頼と、どっちが勝っていたのか今となっては分からない。確か当時感じていたのは、中学の時に好きだった音楽の先生のことを、重ね合わせて慕っていたぐらいだと思うんだけど。
 ところがあの女子アナを見る度、少しずつその職員さんとの思い出を呼び起されてしまった。

『随分前のことなのに、とても不安な気持ちになるのはどうしてなんだろう。』
彼女を思い出して以来、居ても立っても居られなくなってしまったのだ。私はじっくりと学生時代を振り返ってみた。そこには彼女との数々の秘密があった。でもなぜか、記憶が断片的。

『あれ? あの人のことが好きだったのかどうか、決定的なことが思い出せない! これって、一番大事なことなんじゃないの? やっぱりよく分からない。好きだったはず。いや、好きとかいう対象だったはずがない。』
それらを無理矢理、記憶の片隅に追いやってしまっていたことに気付いた。
 そして同時に彼女との一つの約束を思い出すこととなった。そのことを確かめるには、彼女からもらったあるものを探さなければならなかったのだけど・・・

作品名:聞く子の約束 作家名:亨利(ヘンリー)