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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「時のいたずら」 第六話

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決められた時間に館内を巡回して午前8時に交代の警備員が来たら仕事は上がる。
日勤はその8時から夜勤との引継ぎの18時まで。夜勤は完全閉館(職員が全員帰宅する時間)の18時から翌朝8時までの14時間勤務で5時間の仮眠が貰えるが、その間一人で時間を潰すのは退屈する。
原則スマホやパソコンは禁止だが、一人になった時は殆ど触っていることが日常化していた。

源氏物語絵巻と言う国宝の展示にいつもより美術館は警備を増やし、優斗が派遣されていた。当然展示が終了すると警備員契約は解かれ次の職場へと移動することになる。不思議な縁で藤が舞い込んできて、優斗は自分の収入と言う面でも勤務時間と言う点でも考えるようになっていた。

3時から仮眠をして8時前に目を覚ました優斗は眠い目をこすりながら帰宅した。

「ただいま~藤帰って来たぞ」

「はい、お帰りなさいませ」

「お腹が空いたね。すぐに作るから待ってて」

「お食事の支度はわたくしがいたします。何がどこにあってどうするのか教えて下さればやれますので」

「そう、じゃあ今日は一緒にやろう。いつもはコーヒーとパンなんだ」

「パンは解ります。コーヒーとは?」

「飲み物だよ。茶色い色した苦いもの」

「お薬みたいな感じなのですか?」

「違うよ。藤は多分飲めないから牛乳にしなさい。冷蔵庫開けると入っているよ」

扉を開けるとひんやりとしていることに藤は驚いた。

「中は冷たくなっているのですか?」

「そうだよ。腐らせない為にね。氷もあるよ、ほら」

「信じられません・・・このように四角い氷があるなどとは」

「1000年後の世界だから想像がつかないことばかりだよ。このトースターで食パンを焼く。こうしてつまみを回して二枚なら3分ぐらいかな、タイマーセットして」

藤は優斗のすることをじっと見ていた。
明日は自分がやらないといけないと考えていたからだ。
焼けたパンにマーガリンを塗る。優斗はフライパンで卵を目玉焼きにして作った。

「甘い香りがしてパンはとってもおいしいです。今の時代ではこの食べ物が普通なのですか?」

「朝はね。ご飯食べる人も多いよ。俺はパンにしているけど」

「ご飯はどこで炊くのですか?かまどが無いですね」

「かまどは無いね。この炊飯器で炊くんだよ。昼の時に教えるから覚えるんだよ」

「はい、優斗さんは男の方なのに何でもお出来になる。素晴らしいことですわ」