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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「時のいたずら」 第三話

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「ただいま~藤、大丈夫か?」

ベッドに座っていたところに声をかけた。

「優斗さま、一人で心細く感じておりました。お顔拝見できてうれしいです」

今にも泣きそうな表情でじっと見つめていた。

「仕事が終わって急いで帰ってきたんだ。今夜まで暇だからこれからのことを話そう」

「二人で居られるということですね?」

「そうだよ。危険かな?」

「危険?」

「男と女だからね、そのう・・・まあ、いいか。藤は何歳なんだ?」

「そのようなことを・・・藤は18でございます」

「ふ~ん、若いね。ボクは30だよ。おっさんだね、ハハハ~」

「お戯れを。三十路には見えませんよ。本当はお幾つなのですか?」

「だから三十だよ。昭和61年生まれ。解るかい?」

「昭和六十一年・・・わたくしは正暦(しょうりゃく)元年(990年)寅年生まれです」

「正暦元年?大昔って言うこと?」

「わたくしには解りません。先ほど源氏物語から1000年経ていると言われましたね。だとするとわたくしは1018歳ということになります」

「面白いことを言うね。気に入ったよ。不思議な体験をしたからあながち嘘とは思えないけど、これから暮らすようになると今の暮らしぶりを身につけないとダメだよ。まずは服装。その恰好は時代劇みたいだから新しい服を買いに行こう。
とりあえずその上からボクのシャツを羽織って出かけよう」

藤が着ていた衣装は白のロングドレスのようなものだったのでシャツを羽織れば下はスカートに見えた。
財布に1万円ぐらいしか入っていなかったので無理は出来ない。コンビニでパンと牛乳を買って車内で食べながらユニクロまで出かけることにした。

「これは何ですか?」

「えっ?パンだよ。クロワッサン」

「パン?知りません。白いものはお乳ですか?」

「お乳?いいね、そうだよ。藤はまだ出ないよね?って冗談だけど」

「またそのようなことを・・・なんのお乳ですか?」

「もちろん牛だよ。牛乳」

恐る恐る藤は飲み始めた。

「美味しいです!それに冷たくて。どうしてこんなに冷たいのですか?」

「冷蔵してあるからだよ。生温かい牛乳なんて飲めないよ」

「冷蔵?」

「冷やしているということ」

「どうやって?」

「説明が難しいよ。追々わかるよ。今はボクを信じて食べればいいから」

「はい。そうします」