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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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蜜を運ぶ蝶

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貧しさを感じるのは、住む家が無く、食べるものが無く、衣服がみすぼらしいことだろう。それらが満たされて、そのあとに、感情の幸せ感だろう。せめて、それらを満たしてくれる金が無くてはならない。浅木はクラブに勤める決心をした。 誰にも知られない札幌に来た。
 半年もたたずに浅木は人気者になっていた。写真集を知っている客がいて、『似ている』と言ったのがきっかけで、モデル時代の安藤ジェンダーではないかとうわさが広まった。店の客から指名が入った。まもなく、売り上げナンバー1となった。浅木のその店での源氏名はかおるであった。かおるはジェンダーの事を否定も肯定もしなかった。
 ホステスの仕事が慣れてくると、その居場所は平凡な時間にかおるは思えて来た。金持ちのすることは自分のために楽しむだけじゃないか、あるいは仕事がうまくいくための接待とは、酒と女。その道具なのだろうか。住む家があり、食べることが出来、好きなドレスが着られ、自分を考え始めてしまっていた。かおるは自分で選んだはずの仕事なのに、誰かに自分は操られているように感じていた。
 自分を変えなくては、自分は生きていけない。何も考えることもなく、必死で高校生活を送っていたことが想いだされた。せめて高校は卒業したい。その想いのために苦しみに耐えた。耐えられた。今は何を目標にしたら辛いことに、苦しいことに耐えていけるのだろうか。
浅木は自分を変えてみたいと思った。自分だけではない、苦しみ貧しい人を変えてみたいと思った。そのプランのためにかおるは迷うこともなく働いた。いろいろな出会いがありながら3年経った。

作品名:蜜を運ぶ蝶 作家名:吉葉ひろし