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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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はい!今!幸せになりましたねっ!

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「ハッピバースデーディア、次郎~~♪
 ハッピーバースデートゥユー~~♪」

子供がろうそくを火を吹き消そうとしたまさにそのとき、
インターホンが鳴った。

「幸せ回収屋です。幸せを回収にきました」

「今、息子の誕生日なんだ!
 その幸せすら回収するのか!?」

「決まりですから」

「そんなもの……!」
「破ることは犯罪ですよ」

父親は回収屋に幸せを納入した。
さっきまでの幸せなムードは失われた。

回収やさんはまた別のところにむかった。

「汝、この妻を愛し抜くことを誓いますか?」
「誓います」

幸せの絶頂に達したチャペルの中に、回収屋がやってきた。

「幸せ回収屋です。幸せの回収を……」

「もう! なんで、こんなタイミングで来るのよ!!」

「一定量を超えた幸せを検知すると
 回収しなくちゃいけないんです」

「あーーもうサイアク!!」

回収屋に幸せを回収されて、
結婚式は一気に冷めてしまった。

回収屋はまた別の場所を検知してすぐに向かった。

「パパ! ママ! 見て!
 サンタさん! サンタさんがプレゼントくれたよ!」

「幸せ回収屋です」

今度はクリスマスプレゼントをもらってはしゃぐ子供。

「かいしゅう……やさん?」

「幸せを回収……するんだ」

こんな小さな子供からも回収するのか。
回収屋は、生まれて初めて自分の仕事に疑問を感じた。

「うん、かいしゅーするんだよね? いいよ」

「……いや、やっぱり……いいよ」

なんで回収しなくちゃならない。
幸せの方がみんないいに決まっているじゃないか。
幸せを回収するなんてひどすぎる。

回収屋は何も回収しなかった。
回収本社に戻ると思いっきり怒られた。

「お前! 回収しないとは、どういうつもりだ!」

「お言葉ですが、人々から幸せを回収なんてひどすぎます」

「お前、俺たちがただ回収するだけの悪役だと思ってるのか?」

社長の言葉に、回収屋は驚いた。

「違うんですか?」

「幸せ回収屋は一定以上の幸せを刈り取って、
 ここで集めた後に、世界に幸せを平等に再分配するんだ。
 どこよりも公平なんだよ」

「そうだったんですか……」

「……けど、お前の気持ちもよくわかる。
 最近じゃ幸せ回収率も落ちてきている。
 このままじゃ全員がじわじわ不幸になるんだろうな……」

思えば、世界は最近どんどん不幸になっている。
全体的に暗いムードで何をしてもうまくいかない気がする。

それはきっと幸せ回収率に絡んでいるんだろう。

「誰もが幸せになればいいのにな……」






宇宙船では地球侵略成功をお祝いして、
盛大なパーティが開かれていた。

「意外と地球もチョロかったな」

「いまだに書類でやりとりする古代民族なんて
 ワレワレにかかれば簡単に侵略できるな」

「いやー最高の気分だ。このまま一気に……」

UFOの戸がたたかれる。

「ナンダ? 誰か侵略から戻って来たのか?」

けれど宇宙船には全員が載っている。
この宇宙船も外からは見えないはず。

いったい誰が……。

――ドンドン!

「幸せ回収屋です。
 一定量を超えた幸せを検知しました。
 納入しなければ、あらゆる方法で幸せを差し押さえます」

「ヒエ~~!!」

まさか人間からの反撃されるなんて思ってもみなかった。
宇宙人たちは慌てて宇宙船を母星へと引き返した。

正体不明の宇宙人から地球が守られた瞬間だった。

『宇宙人から世界は守られました!』

吉報が世界に広がると、誰もが歓喜した。
回収屋は本社に宇宙人の幸せを持ち帰った。

「やりました! 大量に回収できましたよ!!」

「ふざけんな! なんてことしてくれたんだ!」

「ええええ!?」

まさか怒られるとは思ってなかった。
みんな幸せになったはずなのに。


「お前のせいで、回収先が件にもなったじゃないか!
 どうしてくれる! 休日も返上だバカ野郎!」

人類がみな幸せになることなんてやっぱ無理だった。