小説が読める！投稿できる！小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ！

03　無双期間

8月半ば頃。
またこの季節がやってきた。
この時の千葉ジャガーの順位は順位予想通りの最下位だった。しかし、ジャガーファンは分かっている。この季節からが本番なのだと。

千葉ジャガーの7番打者である再友(29)は、この季節になると毎年3番打者となるのが恒例となっている。
何故なら無双期間に入るからだ。
ちなみに開幕から今までの成績は

打率226　打点15　三振99　

と最悪でチームの足を引っ張りまくっていた。
最下位の原因といってもいい程に。
だがオールスター直後の試合で現在単独首位の文京ジャイアンツを相手に4打数・4安打・2ホーマー・打点6をあげた。打ったのは文京エースの宇多川である。この結果に気を良くした再友はそこから猛烈な勢いで打ち始め、シーズン終了する頃には三冠王に輝いていたのだった。

ちなみに授賞式で

「8月半ばから猛烈な勢いで追い上げた再友選手ですが改めてお気持ちをお願いします。」

「嬉しいですね、やっぱり。文京のエースである宇多川投手を打てた事が自分の自信に繋がったのだと思います」

「そんな宇多川選手ですが今年でいよいよ三十路ですね」

「まだなってませんけど？」

「いえですが…」

「まだ誕生日まで二日ありますけど？」

「…はぁ……以上、三冠王の千葉ジャガー宇多川選手(29)でした。おめでとうございました」

という何とも言えない空気で幕を閉じたのであった。