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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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眠りの庭 探偵奇談2

INDEX|26ページ/37ページ|

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巡るは想い



今日はゆっくり休めよと、送ってくれた担任に声をかけられる。自室に帰り着くと、伊吹はようやくほっとできた。
検査の結果は特に問題もなく、明日から普通に学校に戻っていいとのことだった。右側頭部にある傷は、もう血もとまっておりガーゼをあててあるだけだ。骨にも異常はなかったし、大げさなことになって申し訳ないと思うくらいに軽傷だった。

(なんだっただろう)

担任からも繰り返し聞かれた状況。中庭を横切る渡り廊下を歩いていたら、突然大きな音がして、気づいたら衝撃があって倒れていた。工事現場においてあった重機がひっくり返り、その下敷きになった拳大の石がうまい具合にはねて伊吹の頭に当たったのだという。

その瞬間は何事かとパニックだったが、集まってくる生徒たちの驚きや悲鳴を聞いて、伊吹は逆に冷静さを取り戻していた。

「あ、そうだ」

友人たちが随分心配して、付き添ったり見送ったりしてくれたことを思い出す。鞄に入れたままのスマホを取り出すと、案の定安否を気遣うメッセージが残されていた。ひとつひとつに返信していく。学校は午後から自習になったのだという。他にけが人はいなかっただろうか。

(須丸にも悪いことしたな)

あの後輩からもメッセージが届いていて、そういえば保健室まで付き添ってくれたことを思い出す。後輩に心配されるとは情けないと思いながらも、伊吹は丁寧に礼を返信する。跳ね返るように返事が来た。

『ごめんね』

なんでおまえが謝るんだよ、と思うが、短い無機質なその四文字からは真摯な後悔にも似た気持ちが伝わってくる気がして、なんと返信していいかわからなかった。




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