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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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眠りの庭 探偵奇談2

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託すは祈り



起きろ、と誰かが呼んでいる。暗闇の中から声がする。眠いのに、メンドクサイな、と思っていると、起きろ、とまた聞こえた。老人のような若者のような、男にも女にも聞こえるような声。

(えーと…これ誰だ…?)

瑞は夢うつつの中で思考を巡らせる。

この声、知っている。ここ数日、ずっとこいつに話しかけられているのだ。夢の中で。


起きろ。
そして止めろ。
お前にはこの声が聞こえているはずだろう。
お前にしかもう頼れんのだ。


(なんのことだよ…これって夢だろ。なんで俺、夢の中で説教されてるんだよ)

明日も朝練があるんだから寝かせてほしい。もうすぐ大事な練習試合。うまくいけば、団体戦の選抜メンバーに選ばれるかもしれないんだから。



「うるさくてたまらんのだ!なんとかせんか!!」



「うわッ!!」



怒鳴り声に跳び起きた。瑞は心臓をおさえる。なんだ、いまの夢は。耳元でおもいっきり怒鳴られた。月明かりの差し込む自室。カーテンが夏夜の風に吹かれている。

(だめだ、これはいよいよおかしい…)

日中はやたらイライラするし眠いし、夢の中では説教されるし、この頃やっぱりおかしい。

夜ごと夢に現れ、自分をなじる声。昼間の苛立ち。

(…やっぱアレが原因?)

瑞には一つだけ、この異常事態の原因に心当たりがある。ベッドから起き上がり、さっとパーカーだけ羽織って自転車にまたがる。スマホだけポケットに突っ込んで、瑞は夜の中へ飛び出した。



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