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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「幸せの交換」 第十六話

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残された課長宛ての荷物と送り状の控えを見て、直ぐに宅配便の営業所の名前を記憶した。
家に帰ってから、登志子に電話をした。

「ねえ、今日会社に荷物が届けられた時に野口さんと会ったのよ」

「ふ~ん、貴子の勤め先って野口の実家の傍だったよね?だから配達に行ったんだ」

「でも以前は違ってたのじゃない?」

「実家に住んでいるから、営業所の転勤願いでも出したんじゃないの?」

「そんなこと出来るの?勝手に自分で勤務先選ぶだなんて」

「そこに配達に行ったのだから出来たんじゃないのかしら。今は他人だから、どうでもいいことだけど、あの人あなたに接近しようとするかも知れないよ。どうする?」

「私に接近する?直樹さんとお友達だよ。それに登志子から聞いた野口さんの電話番号も夫に教えたから、また仲良くするだろうし。考えられないよ」

「だといいけど。この年齢になると何が起こるかわからないから気を付けないといけないって言うことよ」

「この年齢になると?どういうこと」

「若い時のように我慢しなくなるということ。残された時間が少ないからその焦りがとんでもない事でも引き金を引いちゃうっていうこと。私は貴子の悩みを知っているからそういうの。野口じゃなく誰とでもちょっとしたきっかけで気持ちが動くことが心配なの」