小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

司令官は名古屋嬢 第6話 『一部』

INDEX|13ページ/19ページ|

次のページ前のページ
 

第4章 ジェイソンは使わない



 パンチャーという悪魔は、召喚主である男の命令を聞くと、即座に行動を開始した。大須たちに向かって、突進してきたのだ……。
 3本の足を器用に駆使して、必死に駆けている。シュールな姿に見えるかもしれないが、けっこうなスピードだ……。短距離走に出場したら、いい成績を残せるかもしれない。
 走りながら、体の中間にある口をガチガチと開いていたのだが、その口は向こう側が見えるほどの全開式であった……。3本の管だけが、上下のアゴをつないでいる……。

「グハッ!」
片方の兵士が、パンチャーに頭部をガブリとやられた……。必死に両手をバタバタさせて暴れる。しかし、口がグイッと閉まると、すぐにおとなしくなった……。パンチャーの口からは、鮮血がドバドバと流れ始めている。再び口を開けて、その兵士を解放するパンチャー。兵士は、ばたりと床に倒れこんだ。
「ひぃぃぃ!!!」
もう片方の兵士が、間抜けな叫び声を上げる。
 倒れた兵士は、頭部に3つの穴をぽかりと開けて死んでいた。下の床を、上から見通すことができるほどだ……。パンチャーのアゴの力は、かなりヤバいレベルらしい。
「ひぃひぃひぃぃぃ!!!」
パンチャーに向けて、拳銃を撃ちまくる兵士。
 弾切れになるまでに、何発かの銃弾がヤツに命中したが、すべて跳ね返されてしまった……。どうやら、拳銃の弾程度は効かないらしい。

「一旦距離を取りましょう! 誰か自動小銃を持ってきて!」
大須はそう告げると、頭を押さえながら、その場に座り込んでしまった……。銃弾を受けた衝撃のせいで、脳震盪を起こしているようだ。
「ウワァ!」
兵士はパンチャーに強く体当たりされ、通路から吹き抜けの下へ転落していった……。体を打ち付ける音が、下から鳴り響いてきた。
「後は頼んだぞ!」
拘束が解かれた男が逃げ始めた。上社は、男を追いかけようとしたが、パンチャーに行く手を阻まれる。この様子だと、男に発砲しようとしても、逆にそのスキを突かれてしまいそうだ。渡り廊下を通り、階段へ向かう男。このままでは、街中への逃走を許してしまう……。

「グッ!」
しかし、八事がそれを止めた。逃げる男の右足を、彼女が拳銃で狙撃してくれたのだ。
 足を撃たれた男は、激痛に苦しみながら、そのままうずくまる。演技ではなさそうなので、逃走の心配はもう無いだろう。腕が無いパンチャーが、男を口に挟んで逃げるかもしれないが。
「八事、ありがとう! おっと!」
上社が礼を言ったとき、パンチャーが体当たりしようとしてきた。
 なんとかギリギリで避けられたものの、ヤツが衝突した柵はひしゃげていた。あと少しで、さっきの兵士のように転落するか、柵との間に挟まれて死んでいただろう……。