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海野ごはん
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大阪の雨・・放かされて

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「大阪の雨・・・放されて」





大阪の夜の雨は銀色の雨が降る。
幾つもの光のネオンがビルのすぐ上の雨雲に反射して、空は梅雨の夜空だというのに明るかった。

達夫は新大阪駅から御堂筋線地下鉄に乗り込み、難波で地上に出ると色とりどりの傘の花に囲まれ困惑した。
凄い土砂降りだった。彩子の店までは距離があり駆け込んで行っても、ずぶ濡れになるのはわかっていた。どうしようか・・・達夫は彩子の店に電話した。
「あっ、俺だけど駅まで迎えに来てくれへんか」電話には都合よく彩子が出た。
「たっちゃん、たっちゃんなの?」
「ああ」
「どこらへんにいるん?」
「25番出口のところや」
「動かんとってや。すぐ行くさかい」
彩子の声はうわずっていた。それはそうだろう3年付き合って、ホイと出たきり1ヶ月も連絡をよこさなかったのだ。彩子はとうに愛想を尽かされフラレてしもたんやと思っていた。

御堂筋は歩道もビルもネオンも、どこもかしこも雨に光っていた。
久しぶりやなここも・・。彩子の顔を見るのは忍びないが今夜は話さなイカン事があると達夫は恨めしそうに空を見た。
どこかのお客が忘れていった傘なんだろうか、彩子は少し大きめの男物の傘で現れた。
彩子は達夫に気がつくなり泣きそうになるのを堪えた。連絡をよこさなかった腹立たしさよりも戻って来てくれた安堵感が胸の奥をついた。
「彩子、久しぶりやな」なんとも罰が悪そうな顔をして達夫は小さく彩子に笑顔を向けた。
「なんやのん」
「なんやのんはないやろ・・・会いに来たんや」
「何処行ってたん、なんで逃げたん?」
「逃げてはないけど、まっ、店行こ」達夫は彩子の傘の下に身体を潜り込ませた。
派手ではないが水商売風のスーツを着た彩子は大阪のネオンがよく似合う。彩子は自分が濡れるのもお構いなしに達夫の方に傘を差し出した。
「濡れるやん、ええよ」達夫は彩子が濡れるのを見て彩子から傘を取り上げ、今度は自分が傘を差し出した。
彩子の店までは歩いて5分かからない場所だった。歩道の水溜りを避けながら二人歩く姿は久しぶりだった。途中、達夫は気を利かしてか「元気だったか」と声をかけたが彩子は返事をしなかった。
彩子の店は雑居ビルの2階にある。
「入ってええよ」達夫たちはエレベータを使わず彩子を先にして階段を上った。