小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

33粒のやまぶどう  (短編物語集)

INDEX|15ページ/169ページ|

次のページ前のページ
 


「アナタ、この古くさい時計、どこかへ売っぱらってきてちょうだい!」
 リヴカは朝から機嫌が悪い。朝食のためテーブルについた夫のアブラハムに、懐中時計を差し出し、怒りだす。
 アブラハムは妻がなぜこんなに不機嫌なのかわかってる。だから素直に、「ああ、そうするよ」と答えた。
 そう、それは1ヶ月ほど前のことだった。泥棒市場で、アブラハムはこの金の輝きを持つ時計を見つけた。手にするといかにも精巧に作られていて、値打ちがありそうだ。いくらか値切り買い取った。その後、後生大事にそれを持ち歩いてきた。

 そんな大切にしている時計、当然就寝時はベッドの横に置いておく。しかし、どうも寝付きが悪い。しかも横に寝ている妻までもが寝苦しそうだ。そしてその内に、二人とも悪夢を見るようになった。