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ワタリドリ
ワタリドリ
novelistID. 54908
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まい子は、お母さん子 「ねむり」

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コンコン コホン
どうやら、かぜをひいたみたい
わたしがふとんのなかで、うんうんと
うなっていると、いつものように
まい子がやさしく笑って部屋へ入ってきた

わたしのひたいに手をのせて
ほんのりつめたくて気持ちがいい

「ありがとう。」

わたしがお礼を言うとまい子は
「だあ だあ」と、てれたように
顔を両手でかくして、部屋の外へかけていった

目の前のすべてがまぼろしのよう
気のせいかしら、
まい子が外に出ていってから
急に部屋が暗くなったように感じる

そっと窓の外に目を向けてみると
いつのまにか真っ暗で、空にはいちばん星が
まばゆい光りをきらめかせている

となりの部屋からまい子の元気な笑い声が
むしょうにやすらかに聞こえてくる

わたしは、熱と睡魔に視界をゆさぶられながら
遠のいていく意識の向こうに
なんだかとても幸せな未来を
見たような気がした。