ロリータの殺意
引きこもり犯
事件が発生したのは、十月二十六日。
事件の全体を把握しやすくするために、犯人たちはどういった人物たちだったのかを先に説明しよう。
一人目の犯人は、エコダ。二十七歳、無職。家族構成は母と弟。
二人目の犯人は、ヤマノ。三十四歳、無職。家族構成は母のみ。
三人目の犯人は、トヨミ。四十一歳、無職。家族構成は両親。
彼らには「無職」という共通点があった。
すべての始まりは、インターネット上の掲示板だった。三人の中で最年少のエコダが、自分と同じように仕事もせず親元で暮らす人間に興味を持ったときから、事件は動き出していたのである。
エコダは、自分が無職であり続けることに不安を抱いていた。働くつもりはない。だが両親はいずれ死ぬ。いつまでも生活が約束されているわけではないことを、二十七歳にして気づいたのだ。
彼の堅実志向な父は、「働かない息子に遺してやる金や土地はない」と言っていた。数十年後には両親不在となり、家も金もなくなっているかもしれない。その恐怖を共感しあえる仲間が、エコダは欲しくなったのである。
エコダの呼びかけに対し、最初に反応したのが、ヤマノだった。
彼は母親と二人暮らしだった。母の実家が資産家だったこともあり、金に困ったことはなかった。甘やかされ、苦労などせずに育ってきた。だが年老いていく母を間近で見るうち、ヤマノは自身の未来が真っ暗であることを悟った。そんなときに、電子掲示板でエコダと知り合った。
彼らはすぐに意気投合した。偶然にも自宅が近かったので、知り合ってから一週間後には実際に会った。