ロリータの殺意
新たな人生
オオトモは悪人だった。
窃盗、暴行、恐喝など、取り返しのつかないとまでは言わずとも、そこに悪の道があれば迷わず突き進んだ。今まで殺人をしなかったのが不思議なくらいだった。
しかし悪人の名にふさわしくない変化が、彼の中で起こった。
その日の夜、オオトモは、公園にたむろしていた不良少年たちを暴力で押さえつけた。少年たちが飲酒をし、花火をして騒いでいたからだ。
でも、だからといって暴力行為が許されるわけではない。オオトモはあっけなく、顔見知りの警官によって交番まで連行された。
「まったく。子供たちを相手に、大人げない真似をしやがって」
警官のお説教に、オオトモは辟易とした。
俺が殴ったのは、以前から問題になっていた不良たちだ。それを懲らしめてやったというのに、どうして怒られなきゃならない。
警官は言った。
「お前は何がしたいんだ。貴重な青春を少年院で過ごし、成人してからもやりたい放題でどうする。いい加減、まっとうに生きろ」
少年たちにも非はあるということで、オオトモは解放された。
自宅へ帰る道すがら、彼は考えた。
おかしい。今夜の俺は、力を加減していた。いつも通りやっていたら、あのガキどもは今ごろ病院で手当てを受けているはずだ。だが、奴らは軽傷だったと警官が言っていた。たとえ誰が相手だろうと手加減をしないのが俺という人間のはずじゃなかったか。