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佐野みむろ
佐野みむろ
novelistID. 42051
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ロリータの殺意

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女神の不満



 その男は、彫刻家だった。しかしプロではなく、外へ働きに出ながら創作活動をおこなっている。つまり、アマチュアだった。
「刃物で木を削ることの何が面白いのかしらねえ。私にはまったく理解できない世界の話だわ」
 彼の妻は、ただの趣味とはいえ、夫が自分よりも作品とばかり向き合っているのが気に入らなかった。彼は社会人としての役割をきちんと果たし、高くはないが低くもないくらいの給料を稼ぐ。そのおかげで専業主婦として生活できているのだから、そのことには感謝していた。しかし、たかが彫刻のせいで夫婦の会話が減ることが、妻には腹立たしいのだった。
 男は作品を完成させるごとに腕を上げていった。でも彼にはまだまだ高みを目指そうという意欲がある。『考えすぎて脳内出血になった人』というテーマの彫像を完成させた彼は、ついに前々から予定していたものにとりかかることにした。
 それは、「女神」である。
 女神といっても、アメリカに立っているあの女神とは違う。もっと抽象的で、広い意味だった。彼自身の内部に宿る、至高の美女。言葉で表現することはできないが、彫像にすることなら、きっとできる。彼は自分の頭の中にある女神を、自分の手で生み出そうと考えていた。
 制作を始めたのはいいが、やはり最初は上手くいかない。何度も作っては壊し、作っては壊しを繰り返す。頭の中にあるイメージを再現するため、男は彫像の制作にすべての力を注ぎ込んだ。
「ダメだ。俺の女神はこんなものじゃない」
作品名:ロリータの殺意 作家名:佐野みむろ